
「けん引免許は難しい?」「トレーラーを運転するにはどんな試験を受けるの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
けん引免許は、一定の条件に該当するトレーラーなどをけん引する際に必要となる運転免許です。
トラックドライバーとして仕事の幅を広げたい方にとって、けん引免許はキャリアの選択肢を増やす免許の一つです。一方、連結車両は普通車や大型トラックとは異なる動きをするため、車両感覚や操作に慣れる必要があります。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- けん引免許とはどのような免許なのか
- けん引免許の受験資格
- けん引免許の難易度
- 技能試験で意識したいポイント
- 教習所と運転免許試験場で直接受験する場合の違い
- けん引免許取得後に目指せる仕事
これからけん引免許の取得を検討している方は、必要な条件や取得方法を正しく理解しておきましょう。
目次
けん引免許とは?
けん引免許とは、自動車で一定の重量を超える車両をけん引する際に必要となる免許です。
トレーラーを使用する貨物輸送などでは、けん引免許が必要になるケースがあります。
車両総重量750kgを超える車両のけん引で必要
自動車で、車両総重量750kgを超える車両をけん引する場合には、原則としてけん引免許が必要です。
一方、車両総重量750kg以下の車両をけん引する場合や、故障車をロープやクレーンなどでけん引する場合には、けん引免許は必要ありません。
トラック業界では、トラクタとトレーラーを連結して貨物を運ぶ仕事などで、けん引免許が必要になります。
けん引免許だけで大型トレーラーを運転できるわけではない
けん引免許は、あくまで車両をけん引するために必要となる免許です。
実際に運転する際には、けん引する側の自動車に対応した運転免許も必要です。
たとえば、大型トラクタでトレーラーをけん引する場合には、大型自動車を運転できる免許に加えて、けん引免許が必要になります。
そのため、「けん引免許を取得すれば、すべての大型トレーラーを運転できる」というわけではありません。
けん引免許を取得すると仕事の選択肢が広がる
けん引免許を取得し、必要な車種の運転免許なども満たしていれば、トレーラーを使用する貨物輸送などを仕事の選択肢にできます。
ただし、実際に必要となる免許や経験は、使用する車両や仕事内容によって異なります。
求人へ応募する際は、「けん引免許必須」だけでなく、大型免許の有無や必要な実務経験なども確認しましょう。
けん引免許の取得条件
けん引免許は、誰でもすぐに受験できるわけではありません。年齢や保有免許、視力などについて条件が設けられています。
年齢と保有免許の条件
第一種けん引免許を取得するためには、18歳以上であることが必要です。
また、次のいずれかの免許を現に受けている必要があります。
- 普通自動車免許
- 準中型自動車免許
- 中型自動車免許
- 大型自動車免許
- 大型特殊自動車免許
- 第二種運転免許
つまり、けん引免許だけを最初の運転免許として取得することはできません。
視力と深視力の基準
けん引免許では、視力についても一定の基準があります。
基本的な基準は、両眼で0.8以上、かつ片眼でそれぞれ0.5以上です。
さらに、けん引免許では「深視力」の検査も行われます。
深視力とは、物体の遠近感や立体的な位置関係を判断する能力です。三桿法による検査を3回行い、平均誤差が2cm以下であることが求められます。
けん引車は車体が長く、トラクタとトレーラーの位置関係を把握する必要があるため、こうした適性についても確認されます。
その他の適性試験
けん引免許の取得時には、視力や深視力などの適性試験を受けます。
具体的な受験資格や適性試験の基準について不安がある場合は、受験する都道府県の運転免許試験場や教習所で事前に確認しておきましょう。
けん引免許の難易度は高い?
けん引免許では、普通車や一般的なトラックとは異なる連結車両特有の操作が必要になります。
特に後退時には、トラクタとトレーラーの動きを理解しながら操作する必要があるため、初めて運転する方にとって難しく感じやすいポイントです。
けん引免許取得時の中心となるのは技能
すでに普通免許など受験資格となる免許を保有して第一種けん引免許を取得する場合、新たな学科試験ではなく、適性試験や技能試験・技能検定が中心となります。
そのため、「交通ルールを暗記すること」よりも、連結車両の動きを理解し、適切に操作できるよう練習することが重要です。
連結車両特有の動きに慣れる必要がある
けん引車では、トラクタとトレーラーが連結部分を中心に異なる動きをします。
特に後退するときは、ハンドル操作によってトレーラーの向きが変化するため、普通車と同じ感覚では操作できません。
車両の動きを目視やミラーで確認しながら、トラクタとトレーラーの位置関係を把握することが重要です。
一発試験では十分な技能練習が重要
指定自動車教習所へ通わず、運転免許試験場で直接技能試験を受験する方法もあります。
ただし、連結車両を運転する機会がない方にとっては、試験前に十分な練習機会を確保することが課題になります。
「一発試験なら簡単に取得できる」と考えるのではなく、自分の運転経験や練習環境を踏まえて取得方法を選びましょう。
けん引免許の技能試験で意識したいポイント
けん引免許の技能試験では、連結車両を安全かつ適切に操作できるかが確認されます。
試験対策では、特定の操作だけを暗記するのではなく、車両の動きを理解することが大切です。
方向転換・後退時の車両感覚
けん引車の操作で難しく感じやすいのが、後退や方向転換です。
後退するときには、トラクタのハンドル操作によってトレーラーの向きが変化します。
教習では、トレーラーの動きをミラーなどで確認しながら、どのような操作をすると車両がどの方向へ動くのかを反復して身につけることが重要です。
内輪差や車両の長さを把握する
連結車両では、車体の長さや内輪差を意識する必要があります。
カーブや交差点では、トラクタだけではなくトレーラー部分がどのような軌跡を通るのかを把握しながら運転します。
一律に「このタイミングでハンドルを切る」と覚えるのではなく、教習車両の特性を理解し、指導員の指示に従って練習しましょう。
安全確認を忘れない
技能試験では、車両を動かす技術だけでなく、安全確認も重要です。
発進や進路変更、右左折など、それぞれの場面で周囲の安全を確認しながら操作する必要があります。
操作に集中するあまり安全確認がおろそかにならないよう、普段の練習から確認動作を習慣化しておきましょう。
けん引免許を取得する方法
けん引免許を取得する代表的な方法には、指定自動車教習所へ通う方法と、運転免許試験場で直接技能試験を受験する方法があります。
指定自動車教習所で取得する
指定自動車教習所では、指導員から連結車両の操作方法について教習を受けられます。
普通免許などを保有して第一種けん引免許を取得する場合、技能教習12時限を基本とするカリキュラムが一般的です。
必要な技能教習を修了し、卒業検定に合格した後、運転免許試験場で所定の手続きを行います。
実際に取得するまでの期間は、教習所の予約状況や通学できる頻度などによって異なります。
運転免許試験場で直接受験する
指定自動車教習所を卒業せず、運転免許試験場で技能試験を直接受験する方法もあります。いわゆる「一発試験」と呼ばれる方法です。
教習所の教習料金はかかりませんが、連結車両を操作するための練習機会を自分で確保する必要があります。
また、不合格になった場合は再度受験する必要があるため、取得までの期間や総費用は受験回数によって変わります。
教習所と一発試験の違い
| 項目 | 指定自動車教習所 | 運転免許試験場で直接受験 |
|---|---|---|
| 練習 | 指導員から技能教習を受けられる | 自分で練習機会を確保する |
| 技能試験 | 教習所で卒業検定 | 試験場で技能試験 |
| 費用 | 教習料金が必要 | 受験回数などによって変動 |
| 取得期間 | 予約状況や通学頻度によって異なる | 合格までの受験回数などによって異なる |
| 向いている人 | 基礎から練習したい人 | すでに十分な練習環境や技能がある人 |
どちらが適しているかは、運転経験や練習環境、費用、取得を希望する時期などによって異なります。
けん引免許取得にかかる期間と費用
けん引免許の取得期間や費用は、取得方法や教習所、地域などによって異なります。
教習期間は通い方によって異なる
指定自動車教習所では、技能教習を受けて卒業検定合格を目指します。
短期間で集中的に通える教習所もありますが、予約状況や仕事との兼ね合いによっては取得までに時間がかかる場合もあります。
「必ず1週間で取得できる」などと考えず、希望する教習所の最新スケジュールを確認しましょう。
費用は教習所によって異なる
教習料金は、地域や教習所、所持している免許などによって異なります。
また、補習や再検定などが必要になれば、追加料金が発生する場合もあります。
正確な費用を知りたい場合は、通学を検討している教習所の料金表を確認しましょう。
教育訓練給付金を利用できる場合もある
教習所の講座によっては、厚生労働省の教育訓練給付制度の対象となっている場合があります。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了し、本人も所定の受給要件を満たしている場合には、教育訓練経費の一部について給付を受けられることがあります。
すべてのけん引免許講座が対象になるわけではないため、申し込み前に対象講座かどうか、受給要件を満たしているかを確認しましょう。
また、勤務先によっては免許取得支援制度を設けている場合もあります。転職先でけん引免許の取得を考えている場合は、会社の制度について確認してみるのもよいでしょう。
けん引免許取得後に目指せる仕事
けん引免許を取得すると、保有するほかの運転免許との組み合わせによって、トレーラーを使用する仕事を選択肢にできます。
トレーラーを使用する貨物輸送
けん引免許が必要となる代表的な仕事の一つが、トレーラーを使用した貨物輸送です。
たとえば、コンテナやさまざまな貨物をトレーラーで輸送する仕事があります。
ただし、大型トラクタでトレーラーをけん引する場合には、けん引免許だけではなく大型免許も必要です。
仕事内容によって必要な免許や経験が異なるため、求人票の応募条件を確認しましょう。
給与や待遇は仕事内容によって異なる
けん引免許を必要とする仕事だからといって、必ず一般的なトラックドライバーより給与が高くなるとは限りません。
給与は、勤務先や輸送する貨物、運行距離、勤務時間、経験、各種手当などによって異なります。
転職する際は給与額だけではなく、勤務時間や休日、運行ルート、荷役作業の有無なども確認しましょう。
性別に関係なく取得を目指せる
けん引免許の取得条件に、性別による違いはありません。
年齢や保有免許、視力・深視力などの条件を満たし、必要な技能を身につければ、女性もけん引免許の取得を目指せます。
トレーラーの仕事を探す場合は、車両の種類だけでなく、勤務時間や運行距離、荷役作業の有無などを確認し、自分に合った求人を選ぶことが大切です。
けん引免許に関するよくある質問
けん引免許の取得に学科試験はありますか?
普通免許など受験資格となる免許をすでに保有して第一種けん引免許を取得する場合、新たな学科試験はありません。
指定自動車教習所を利用する場合は技能教習と卒業検定、運転免許試験場で直接受験する場合は適性試験や技能試験などが中心となります。
普通免許だけでもけん引免許を取得できますか?
はい。普通免許を現に受けている方は、年齢や適性試験などの条件を満たせば第一種けん引免許を取得できます。
ただし、けん引免許を取得しただけで大型トラクタを運転できるようになるわけではありません。実際に運転する自動車に対応した免許も必要です。
けん引免許が必要になるのは何kgからですか?
原則として、自動車で車両総重量750kgを超える車両をけん引する場合に、けん引免許が必要です。
車両総重量750kg以下の車両をけん引する場合や、故障車をロープやクレーンなどでけん引する場合には必要ありません。
けん引免許で難しいのはどこですか?
難しく感じるポイントには個人差がありますが、初めて連結車両を運転する方は、後退や方向転換などで戸惑うことがあります。
普通車とは車両の動きが異なるため、ハンドル操作を丸暗記するのではなく、トラクタとトレーラーの位置関係や動きを理解することが重要です。
女性でもけん引免許を取得できますか?
はい。けん引免許の取得条件に性別による違いはありません。
年齢や保有免許、視力・深視力などの条件を満たし、必要な技能を身につければ取得を目指せます。
まとめ
けん引免許は、トレーラーなどを使用する仕事を目指す際に役立つ免許です。
今回の内容を振り返ります。
- 車両総重量750kgを超える車両をけん引する場合は、原則としてけん引免許が必要
- 第一種けん引免許は18歳以上で、普通・準中型・中型・大型・大型特殊・第二種免許などを現に受けていることが受験条件
- 視力は両眼0.8以上、片眼それぞれ0.5以上が基本
- 三桿法による深視力検査では3回の平均誤差2cm以下が必要
- すでに対象となる免許を持っている場合、第一種けん引免許取得時に新たな学科試験はない
- 連結車両特有の後退や方向転換などの操作に慣れる必要がある
- 指定自動車教習所または運転免許試験場での直接受験で取得を目指せる
- けん引免許だけで大型トレーラーを運転できるわけではなく、けん引する側の自動車に対応した免許も必要
- 取得期間や費用は教習所や取得方法などによって異なる
けん引免許は、単に試験の「難易度」だけを見るのではなく、連結車両特有の動きを理解し、安全に操作する技能を身につけることが重要です。
これからトラック業界へ転職する方は、現在保有している免許と将来運転したい車両を確認し、必要な免許を段階的に検討してみましょう。
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