
「トラック運転手は離職率が高い」「きつくて辞める人が多い」といったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。
特に未経験からトラックドライバーへの転職を考えている場合、長く働き続けられる仕事なのか気になる方も多いでしょう。
しかし、離職率を見る際には注意が必要です。厚生労働省の雇用動向調査では、「トラック運転手」だけを対象とした離職率ではなく、「運輸業・郵便業」などの産業別に離職率が公表されています。
そのため、「トラック運転手は離職率が高い」と単純に判断するのではなく、統計の対象を正しく理解したうえで、実際の働き方や職場選びについて考えることが大切です。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- トラック運転手の離職率に関するデータの見方
- トラック運転手が「辞めやすい」といわれる背景
- 長く働ける職場を探す際に確認したいポイント
- 未経験・女性がトラックドライバーを目指す際の注意点
トラックドライバーへの転職を検討している方は、イメージだけで判断せず、自分に合った働き方ができる職場を探すための参考にしてください。
目次
トラック運転手の離職率は高い?
まず確認しておきたいのが、「トラック運転手は本当に離職率が高いのか」という点です。
結論からいうと、公的な離職率の統計を見る際は、「トラック運転手」と「運輸業・郵便業」を分けて考える必要があります。
厚生労働省の統計は「運輸業・郵便業」の数値
厚生労働省が実施している「雇用動向調査」では、産業別の入職率・離職率が公表されています。
ここで注意したいのは、公表されている数値が「トラック運転手」だけを対象としたものではないことです。
トラック運送に関係する仕事は、統計上「運輸業・郵便業」という大きな産業区分に含まれています。そのため、「運輸業・郵便業の離職率=トラック運転手の離職率」ではありません。
トラックドライバーの離職状況を考える際には、この違いを理解したうえで統計を見る必要があります。
2025年上半期の離職率を比較
厚生労働省の「令和7年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、2025年上半期の一般労働者の離職率は、産業計が6.5%、運輸業・郵便業が4.3%でした。
| 産業 | 離職率(一般労働者) |
|---|---|
| 産業計 | 6.5% |
| 運輸業・郵便業 | 4.3% |
| 製造業 | 4.7% |
| 卸売業・小売業 | 5.1% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 10.3% |
| 医療・福祉 | 7.8% |
このデータだけを見ると、運輸業・郵便業の離職率が全産業と比べて特に高いとはいえません。
ただし、この4.3%という数字にはトラック運転手以外の仕事も含まれています。
そのため、「トラック運転手の離職率は4.3%」と読み替えることはできません。あくまで業界を考える際の参考値として捉えましょう。
「トラック運転手は辞める人が多い」とは一概にいえない
トラック運転手に対して、「仕事がきつい」「辞める人が多い」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、実際の働き方は勤務先や担当する業務によって大きく異なります。
長距離輸送と近距離配送では勤務時間や運行スケジュールが異なり、荷物の種類によって荷役作業の内容も変わります。
「トラック運転手だから離職しやすい」と考えるのではなく、自分の希望する働き方と仕事内容が合っているかを見ることが重要です。
トラック運転手が「辞めやすい」といわれる背景
離職率の統計だけでは、トラック運転手が特に辞めやすい仕事とはいえません。
一方で、トラックドライバー特有の働き方が、人によっては負担になる場合があります。
ここでは、転職前に知っておきたいポイントを確認します。
勤務時間や拘束時間が長くなる場合がある
トラックドライバーの勤務時間は、担当する運行によって異なります。
特に長距離輸送などでは、運転時間だけでなく、荷待ちや荷役作業、休憩などを含めて拘束時間が長くなる場合があります。
厚生労働省の資料でも、「運輸業・郵便業」は長時間労働が課題となっている業種の一つです。
ただし、すべてのトラックドライバーが長時間勤務になるわけではありません。
近距離配送や固定ルートなど、仕事内容によって勤務時間は異なるため、求人を探す際は始業・終業時間だけでなく、残業時間や運行スケジュールも確認しましょう。
荷待ちや荷役作業が発生することがある
トラックドライバーの仕事は、単にトラックを運転するだけとは限りません。
荷主の施設などで荷物の積み込み・積み下ろしを行ったり、荷物の準備が整うまで待機したりする場合があります。
こうした荷待ちや荷役作業の有無によって、仕事の負担感や1日のスケジュールは大きく変わります。
転職する際は、「運転時間」だけではなく、荷役作業の方法や荷待ち時間の状況についても確認することが大切です。
仕事内容と給与がイメージと違う場合がある
トラックドライバーの給与体系は会社によって異なります。
固定給を中心とする会社もあれば、運行内容や業績などに応じた手当を設けている会社もあります。
また、残業代や深夜手当、運行手当などの扱いも勤務先によって異なります。
入社後に「思っていた給与体系と違った」とならないよう、基本給だけでなく、各種手当や残業代、賞与、昇給、退職金制度なども確認しておきましょう。
生活リズムが合わない場合がある
トラックドライバーの勤務時間帯は仕事内容によってさまざまです。
早朝から勤務する仕事もあれば、夜間に運行する仕事もあります。
勤務時間が自分の生活リズムに合わない場合、働き続けるうえで負担になることがあります。
特に家庭や子育てとの両立を考えている方は、出勤時間や退勤時間、休日、残業の有無などを具体的に確認することが重要です。
会社によって働き方の差が大きい
同じトラックドライバーでも、会社や仕事内容によって働き方は大きく異なります。
たとえば、以下のような違いがあります。
- 長距離輸送か近距離配送か
- 固定ルートか日によって配送先が変わるか
- 日勤か夜勤か
- 荷役作業があるか
- 手積み・手降ろしがあるか
- 高速道路を利用できるか
- 残業がどの程度発生するか
そのため、トラックドライバーへの転職では、職種名だけで判断せず、具体的な仕事内容まで確認することが重要です。
トラック運転手として長く働くための職場選び
長く働ける会社を探すためには、「トラックドライバー募集」という情報だけで判断せず、労働条件や仕事内容を具体的に確認する必要があります。
勤務時間と休日を確認する
求人票を見る際は、始業・終業時刻だけでなく、残業時間や休日についても確認しましょう。
特に確認したいのは、次のようなポイントです。
- 1日の勤務時間
- 残業時間の目安
- 休日数
- 休日の曜日
- 夜勤の有無
- 休日出勤の有無
自分の生活リズムや家庭の予定と照らし合わせて、無理なく続けられる働き方か判断しましょう。
給与の内訳を確認する
求人票に記載されている月収例だけでは、実際の給与体系がわからない場合があります。
基本給はいくらなのか、残業代や各種手当を含めるとどの程度になるのかを確認することが重要です。
また、賞与や昇給、退職金制度の有無なども会社によって異なります。
長期的に働くことを考える場合は、月収だけでなく給与体系全体を確認しましょう。
荷役作業の内容を確認する
トラックドライバーの求人では、荷物の積み込み・積み下ろし方法も重要です。
手作業で荷物を扱う仕事もあれば、フォークリフトやカゴ台車などを使用する仕事もあります。
扱う荷物の重量や荷役方法によって体への負担は変わるため、応募前に確認しておくと安心です。
研修や教育体制を確認する
未経験からトラックドライバーを目指す場合は、研修制度についても確認しましょう。
会社によっては、先輩ドライバーとの同乗研修などを行っている場合があります。
研修期間や独り立ちまでの流れ、未経験者へのサポート内容などを確認しておくと、入社後の働き方をイメージしやすくなります。
必要な免許と資格取得支援を確認する
運転するトラックによって、必要な運転免許は異なります。
求人によっては、入社後に中型免許や大型免許などの取得を支援する制度を設けている場合があります。
将来的に運転できる車両の幅を広げたい場合は、免許取得支援制度の有無や利用条件を確認してみましょう。
トラック運転手への転職で確認したいポイント
入社後のミスマッチを防ぐためには、求人票だけではわからない部分を面接などで確認することも大切です。
1日の仕事の流れを聞く
勤務時間だけでなく、出勤してから退勤するまでの具体的な流れを確認すると、実際の働き方をイメージしやすくなります。
たとえば、次のような内容を確認してみましょう。
- 1日の配送件数
- 主な配送エリア
- 荷物の種類
- 積み込み・積み下ろし方法
- 休憩の取り方
- 残業が発生する場面
求人票の条件だけではなく、実際の1日の流れを把握したうえで応募を判断することが重要です。
使用する車両を確認する
同じトラックドライバーでも、軽貨物車両から大型トラックまで使用する車両はさまざまです。
必要となる免許も車両によって異なります。
「普通免許で応募できると思っていたら、実際には別の免許が必要だった」といったミスマッチを防ぐためにも、使用する車両と必要な免許を確認しましょう。
残業や休日について具体的に確認する
「残業あり」「シフト制」などの表記だけでは、実際の働き方がわかりにくい場合があります。
平均的な退勤時間や繁忙期の残業、休日出勤の可能性などについて確認すると、入社後の生活をイメージしやすくなります。
特に家庭との両立を考えている方は、勤務時間や休日について具体的に確認しておきましょう。
未経験からトラック運転手を目指す場合
トラックドライバーの求人には、未経験者を対象としているものもあります。
ただし、必要な免許や研修制度、仕事内容は求人によって異なります。
必要な運転免許を確認する
トラックは、車両総重量や最大積載量などによって必要な運転免許が異なります。
普通免許で運転できる車両を使用する求人もあれば、準中型免許・中型免許・大型免許などが必要な求人もあります。
また、普通免許は取得時期によって運転できる車両の範囲が異なる場合があります。
応募前に自分の運転免許証と求人の応募条件を確認しましょう。
未経験者向けの研修があるか確認する
運転免許を持っていても、業務としてトラックを運転する場合には、車両感覚や荷扱い、配送ルートなど覚えることがあります。
未経験の場合は、入社後の研修内容や同乗指導の有無などを確認しておくと安心です。
仕事内容が自分に合っているか考える
トラックドライバーの仕事には、さまざまな働き方があります。
運転する時間が長い仕事もあれば、配送件数が多く、荷物の積み降ろしを繰り返す仕事もあります。
「運転が好きだから」という理由だけで選ぶのではなく、運行距離や勤務時間、荷役作業などを含めて自分に合っているか考えましょう。
女性がトラックドライバーとして働く場合のポイント
トラックドライバーの仕事に、性別による免許取得条件の違いはありません。
必要な運転免許を持ち、求人の応募条件を満たしていれば、女性もトラックドライバーを目指せます。
荷役作業の内容を確認する
求人を選ぶ際は、荷物の重量や積み込み・積み下ろし方法を確認しましょう。
手積み・手降ろしを行う仕事もあれば、フォークリフトやカゴ台車などを使用する仕事もあります。
性別だけで仕事の向き・不向きを判断するのではなく、自分の体力や希望に合った仕事内容かを確認することが重要です。
職場環境を確認する
トイレや更衣室、休憩スペースなどの設備は勤務先によって異なります。
気になる設備がある場合は、応募前や面接時に確認しましょう。
また、女性ドライバーが現在働いているか、どのような業務を担当しているかを確認するのも、実際の働き方をイメージする参考になります。
子育てとの両立を考える場合
子育てと仕事を両立したい場合は、勤務時間や休日、残業などの条件を確認することが重要です。
求人によっては日勤のみの仕事や、勤務時間について相談できる場合もあります。
一方、早朝勤務や夜間運行が必要な仕事もあるため、「トラックドライバーだから家庭と両立しやすい・しにくい」と一律に判断せず、求人ごとの条件を比較しましょう。
トラック運転手の離職率に関するよくある質問
トラック運転手は離職率が高いですか?
「トラック運転手は離職率が高い」というイメージを持たれることがありますが、統計を見る際には注意が必要です。
厚生労働省の雇用動向調査では、「トラック運転手」だけではなく「運輸業・郵便業」という産業区分で離職率が公表されています。
2025年上半期の一般労働者では、産業計の離職率が6.5%だったのに対し、運輸業・郵便業は4.3%でした。
少なくともこの統計から、「運輸業・郵便業は全産業より離職率が高い」とはいえません。
ただし、トラック運転手だけを対象とした数値ではない点には注意が必要です。
トラック運転手を辞める理由には何がありますか?
退職・転職を考える理由は人によって異なります。
トラックドライバーの場合、勤務時間や運行スケジュール、荷役作業、給与体系などが自分の希望と合わないことが、転職を考えるきっかけになる場合があります。
「トラック運転手だから辞める」のではなく、仕事内容と本人の希望が合っているかが重要です。
長距離ドライバーは離職率が高いですか?
長距離ドライバーだけの離職率が高いと一概に判断できる公的な統計があるわけではありません。
長距離輸送では、近距離配送とは運行スケジュールや勤務時間、休息の取り方などが異なる場合があります。
長距離輸送を希望する場合は、拘束時間や運行日程、休息の取り方、帰宅できる頻度などを確認しましょう。
離職率が低い会社はどうやって見分ければいいですか?
会社ごとの離職率が公開されていない場合、求人情報だけから正確な離職率を判断することは困難です。
そのため、勤務時間や休日、給与体系、荷役作業、研修制度などを確認し、自分が無理なく働き続けられる環境か判断することが重要です。
会社が離職率や平均勤続年数を公表している場合は、その数字も参考になります。
女性でも長くトラックドライバーとして働けますか?
性別だけで長く働けるかどうかが決まるわけではありません。
勤務時間や休日、荷役作業、運行距離、職場設備などを確認し、自分の希望や生活に合った職場を選ぶことが重要です。
まとめ
トラック運転手には「離職率が高い」というイメージを持たれることがありますが、統計を見る際には対象となっている産業や職業を正しく確認する必要があります。
今回のポイントをまとめます。
- 厚生労働省の雇用動向調査では「トラック運転手」単独ではなく「運輸業・郵便業」などの産業別離職率が公表されている
- 2025年上半期の一般労働者では、産業計の離職率6.5%に対して運輸業・郵便業は4.3%
- この数字を「トラック運転手の離職率4.3%」と読み替えることはできない
- 勤務時間や荷待ち、荷役作業、給与体系などは勤務先や仕事内容によって異なる
- 長距離・近距離などの違いだけで離職率の高低を断定することはできない
- 求人を選ぶ際は勤務時間・休日・給与・荷役作業・運行内容・研修制度などを確認する
- 未経験者は必要な免許や入社後の研修内容も確認する
- 女性も性別だけで仕事を判断せず、勤務条件や職場環境が自分に合っているか確認することが大切
トラックドライバーへの転職では、「離職率が高そう」というイメージだけで判断するのではなく、実際の仕事内容や勤務条件を確認することが重要です。
同じトラックドライバーでも、運転する車両や運行距離、勤務時間、荷役作業などによって働き方は大きく異なります。自分が長く続けられる条件を整理したうえで、求人を比較してみましょう。
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