
「トラックドライバーとして働いているけれど、妊娠したら仕事はどうなるの?」「妊娠中も運転を続けて大丈夫?」と、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。体のことも仕事のことも、わからないことが多いと心配になりますよね。
先にお伝えすると、妊娠中のトラックドライバーは、法律で守られた制度を使いながら、体に負担の少ない働き方に変えることができます。大切なのは、医師の意見を聞き、早めに会社へ相談することです。
この記事では、妊娠したトラックドライバーが知っておきたい制度や、仕事を続けるときの注意点を解説します。この記事でわかることは、次のとおりです。
- 妊娠中のトラックドライバーの仕事で、体に負担がかかる場面
- 妊娠・出産で使える法律の制度
- 会社への伝え方と、働き方の変え方
- 出産後に、トラックドライバーとして働き続けるためのポイント
なお、体の状態は一人ひとり異なります。この記事は一般的な情報のため、具体的な判断は必ず医師に相談してください。
目次
妊娠中のトラックドライバーの仕事で気をつけたいこと
まずは、トラックドライバーの仕事の中で、妊娠中の体に負担がかかりやすい場面を整理します。仕事の内容によって、気をつける点は変わります。
体に負担がかかりやすい作業
- 重い荷物の積み込みや荷降ろし
- 荷台への乗り降りや、高い場所での作業
- 長い時間、同じ姿勢で座り続ける運転
- 夜間や早朝の勤務、車中泊のある長距離の運行
重い荷物を持ったり、荷台から乗り降りしたりする作業は、おなかに力がかかり、転ぶ危険もあります。妊娠中は、とくに荷物の作業の負担を減らすことが大切です。法律でも、妊娠中の女性が重い荷物をあつかう業務は制限されています。
運転そのものについて
妊娠中の運転を一律に禁止する法律はありません。ただし、つわりや眠気、急なおなかの張りなど、妊娠中は体調が変わりやすくなります。体調に少しでも不安があるときは、運転をせずに会社へ申し出ることが原則です。運転を続けてよいかどうかは、医師と相談して決めましょう。
シートベルトは正しく着ける
妊娠中も、シートベルトは着用するのが基本です。腰ベルトはおなかのふくらみをさけて腰骨のできるだけ低い位置に、肩ベルトは胸の間を通しておなかの横に着けます。おなかの上をベルトが横切らないようにしましょう。着け方に不安があるときは、医師に相談します。
妊娠・出産で使える法律の制度
妊娠・出産をした女性は、労働基準法や男女雇用機会均等法などの法律で守られています。トラックドライバーも、もちろん対象です。
主な制度の一覧
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 軽い業務への転換 | 妊娠中の女性が請求した場合、会社はほかの軽い業務に転換させる必要がある |
| 時間外・休日・深夜の労働の制限 | 妊娠中や産後1年以内の女性が請求した場合、残業や休日出勤、深夜の勤務をさせてはいけない |
| 健康診査の時間の確保 | 妊婦健診などを受けるための時間を、会社が確保する必要がある |
| 医師の指導にもとづく措置 | 通勤の緩和や休憩、勤務時間の短縮など、医師の指導に応じた対応を会社が行う |
| 産前休業 | 出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から、請求すれば休める |
| 産後休業 | 出産の翌日から8週間は働けない(6週間後に本人が希望し、医師が認めた場合は働ける) |
表のとおり、妊娠中から出産後まで、さまざまな制度があります。妊娠や出産を理由に、解雇や降格などの不利益なあつかいをすることは、法律で禁止されています。
母性健康管理指導事項連絡カードを使う
医師から仕事について指導を受けたときは、「母性健康管理指導事項連絡カード」を使うと、会社に内容を正しく伝えられます。カードには、医師が必要な対応を書きこみます。会社はその内容にもとづいて、勤務時間の短縮や作業の制限などの対応を行います。カードの様式は、厚生労働省のウェブサイトなどで手に入れられます。
出産後に使える制度
出産後は、子どもが1歳になるまで取れる育児休業があります。条件を満たせば、雇用保険から育児休業給付金を受け取れます。子どもが3歳になるまでは、短時間勤務の制度を使える場合もあります。くわしい条件は、会社の担当者やハローワークに確認しましょう。
妊娠したときの会社への伝え方と働き方の変え方
制度を使うためには、会社に妊娠を伝えて相談する必要があります。伝えるタイミングと、働き方を変える方法を紹介します。
早めに会社へ伝える
妊娠がわかったら、体調が安定しているかどうかにかかわらず、早めに上司や運行管理者に伝えましょう。トラックドライバーは運転や荷物の作業があるため、早く伝えるほど、仕事の調整がしやすくなります。伝える相手やタイミングに迷うときは、まずは信頼できる上司に相談するとよいでしょう。
働き方を変える方法の例
- 荷物の積み降ろしが少ない配送ルートに変えてもらう
- 長距離から、日帰りの近距離の配送に変えてもらう
- 夜間や早朝の勤務を外してもらう
- 配車や事務などの内勤の仕事に移る
どの方法が選べるかは、会社の規模や仕事の内容によって異なります。体調の変化に合わせて、働き方を何度でも相談してかまいません。相談の内容は、メモや書面に残しておくと安心です。
会社に相談しにくいときは
会社に相談しても対応してもらえない場合は、各都道府県の労働局にある「雇用環境・均等部(室)」に相談できます。相談は無料で、会社に知られずに相談することもできます。
トラックドライバーという選択肢
妊娠・出産のあとも、トラックドライバーとして働き続ける女性はふえています。ここでは、女性がトラックドライバーとして働く魅力と、職場の選び方を紹介します。
女性が働きやすい職場が広がっている
国土交通省は「トラガール促進プロジェクト」を進め、女性が働きやすい環境づくりを後押ししています。女性専用の休憩室やトイレを整え、子育てとの両立を応援する会社もふえてきました。産休や育休を取って職場に戻ったドライバーがいる会社なら、制度も使いやすいでしょう。
出産後に働きやすい仕事の選び方
| 働き方 | 特徴 | 子育てとの両立 |
|---|---|---|
| 日勤の地場配送 | 日中に働き、毎日家に帰れる | しやすい |
| 決まった時間のルート配送 | 配送先と時間が決まっていて、予定を立てやすい | しやすい |
| 長距離 | 車中泊があり、家を空ける時間が長い | 家族の協力が必要 |
表は一般的な傾向であり、会社によって異なります。面接では、産休・育休を取った人がいるか、短時間勤務ができるかを具体的に聞いておきましょう。
応募前に確認したいこと
- 産休・育休を取ったドライバーの実績
- 短時間勤務や、勤務時間の相談ができるか
- 子どもの急な発熱などで休むときの体制
- 自分の免許で運転できる車の大きさ
運転できる車の大きさは、免許を取った時期によって変わります。たとえば、2017年3月12日以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5t未満の車まで運転できます。応募の前に、自分の免許証で区分を確認しておきましょう。
トラックドライバーの妊娠に関するよくある質問
最後に、トラックドライバーの妊娠について、よくある質問にお答えします。
妊娠中もトラックの運転を続けてよいですか
運転を一律に禁止する法律はありません。ただし、続けてよいかどうかは、体調や仕事の内容によって変わるため、必ず医師と相談して決めましょう。
妊娠を伝えたら、解雇されることはありますか
妊娠や出産を理由に、解雇や降格などの不利益なあつかいをすることは、法律で禁止されています。不安なときは、労働局の雇用環境・均等部(室)に相談しましょう。
パートや契約社員でも、産休は取れますか
産前・産後休業は、雇用の形にかかわらず取れます。育児休業は、条件を満たせばパートや契約社員でも取れます。
出産後、いつからトラックの仕事に戻れますか
産後8週間は、原則として働けません。体の回復には個人差があるため、医師と相談しながら、無理のない時期と働き方で復帰しましょう。
まとめ
トラックドライバーの妊娠について、ふり返ります。
- 妊娠中は、重い荷物の作業や長い時間の運転など、体の負担を減らすことが大切
- 体調に不安があるときは、運転をせずに会社へ申し出る
- 軽い業務への転換や、深夜の勤務の制限などを請求できる
- 産前6週間・産後8週間の休業や、育児休業の制度がある
- 妊娠を伝えるのは早めにし、医師の意見をもとに働き方を相談する
制度を正しく知り、早めに相談することが、安心して働き続けるための土台です。トラックドライバーへの転職を検討中なら、ぜひ「トラガール」をご覧ください。


