
「先輩に『荷台にロウを塗っておいて』と言われたけれど、ロウって何?」「トラックの仕事で使うロウの塗り方が知りたい」と困っていませんか。
トラックの現場では、ふだんの生活では聞きなれない言葉がたくさん使われます。トラックでいう「ロウ」とは、荷台の床に塗って荷物を滑りやすくするための道具です。
この記事で分かること
- トラックで使う「ロウ」の意味と役割
- 荷台にロウを塗るメリット
- ロウの種類と正しい塗り方
- ロウを塗るときの注意点
これからトラックドライバーを目指す方も、働き始めたばかりの方も、ぜひ参考にしてください。
目次
トラックの「ロウ」とは?荷台に塗る滑り剤のこと
まずは、トラックの現場でいう「ロウ」がどのようなものかを解説します。似た言葉との違いもあわせて確認しておきましょう。
ロウは荷物をスムーズに動かすための道具
トラックの「ロウ」とは、荷台の床に塗って滑りをよくするワックスのことです。
ロウは、ろうそくの材料と同じような、ツルツルとした性質を持つ素材です。荷台の床に薄く塗ると表面がなめらかになり、荷物を押したときにスッと動くようになります。
荷台の床は木の板などでできていることが多く、そのままだと段ボールや荷物がこすれて動かしにくい状態です。
重い荷物を奥から手前へ、手前から奥へと動かす作業はドライバーにとって大きな負担です。ロウは、荷台での作業を少しでも楽にするための現場の知恵といえます。
ロウがよく使われるトラックの種類(バン・ウイング車など)
ロウは、荷台に屋根と壁があるタイプのトラックでよく使われます。
- バン車:荷台が箱の形をしていて、後ろの扉から荷物を出し入れするトラック
- ウイング車:荷台の側面が鳥の翼のように上に開くトラック
- 冷凍車・冷蔵車:荷物を冷やしたまま運べる箱型のトラック
箱型の荷台は奥行きがあるため、荷物を奥まで押し込んだり、奥から引き出したりする場面が多くなります。
特に、人の手で荷物を積み下ろしする「手積み・手下ろし」の仕事では、ロウがよく活躍します。荷物を押したり引いたりする距離が長いトラックほど、ロウの効果を実感しやすくなります。
「ロー(低床・ローギア)」との違い
トラックの用語には、「ロウ」と音が似ている「ロー」という言葉もあります。意味がまったく違うので注意しましょう。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ロウ | 荷台の床に塗って滑りをよくするワックス |
| ロー(低床) | 荷台の床が地面から低い位置にあるトラックのこと |
| ロー(ローギア) | 坂道の発進などで使う、力の強い低速のギアのこと |
低床トラックは荷台が低いため、荷物の積み下ろしがしやすいのが特徴です。ローギアは、マニュアル車などで重い荷物を積んで走り出すときに使います。
「荷台に塗る」という話なら「ロウ」、トラックの種類やギアの話なら「ロー」と覚えておくと混乱しません。
トラックの荷台にロウを塗るメリット
ロウを塗る作業は少し手間がかかりますが、それ以上のメリットがあります。ドライバーがロウを使う主な理由を3つ紹介します。
荷物の積み下ろしが楽になる
ロウを塗る一番のメリットは、荷物を軽い力で動かせるようになることです。
荷台の床と荷物の間の引っかかりが減るため、重い段ボールでも押すだけで奥まで滑らせられます。荷物を持ち上げて運ぶ回数が減り、作業がぐっと楽になります。
荷台の奥に積んだ荷物を手前に引き寄せるときも、ロウが塗ってあればスムーズに動きます。
荷台の中を何度も行き来する必要がなくなるのも、うれしいポイントです。ロウは、手積み・手下ろしの作業を大きく助けてくれる存在です。
作業時間が短くなる
荷物がスムーズに動くと、積み下ろしにかかる時間も短くなります。
トラックドライバーの仕事では、配送先ごとに荷物を下ろす作業が発生します。1か所あたりの時間が少し短くなるだけでも、1日全体で見ると大きな差になります。
作業が早く終われば、次の配送先に余裕を持って向かえます。時間に追われて焦ることが減るため、安全運転にもつながります。
作業時間の短縮は、ドライバー自身の働きやすさにも直結するメリットです。
腰や腕への負担を減らせる
ロウを使うと、腰や腕にかかる負担を軽くできます。
重い荷物を無理に引っ張ったり持ち上げたりすると、腰痛や腕の痛みの原因になります。トラックドライバーにとって腰痛は、長く働くうえで気をつけたい悩みのひとつです。
ロウで荷物が滑りやすくなれば、少ない力で荷物を動かせます。体への負担が減ることで、1日の終わりの疲れ方も変わってきます。
力に自信がない方でも作業しやすくなるため、女性ドライバーにとっても心強い道具です。
トラックで使うロウの種類と選び方
トラックの荷台に使うロウには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知って、自分の仕事に合ったものを選びましょう。
固形タイプ
固形タイプは、トラックの荷台用ロウとしてもっとも一般的な種類です。
ブロックや棒のような形をしたロウを、荷台の床にこすりつけて塗ります。クレヨンで色を塗るような感覚で使えるため、初めての方でも扱いやすいのが特徴です。
1本で長く使えるため、コストをおさえやすい点もメリットです。
一方で、広い荷台全体に塗るには少し時間と力がかかります。ロウ塗りに慣れていない方は、まず固形タイプから試してみるのがおすすめです。
粉末・スプレータイプ
固形タイプ以外にも、粉末やスプレーのタイプがあります。
- 粉末タイプ:粉状のロウを荷台にまき、広げてなじませる
- スプレータイプ:荷台の床に吹きかけて使う
粉末タイプは、固形のロウをおろし金などで細かく削って作る方法もあります。広い範囲に手早く広げられる点が魅力です。
スプレータイプは、塗りムラが出にくく短時間で作業できます。ただし、商品によって使える素材や使い方が異なるため、説明書きをよく確認してから使いましょう。作業時間を短くしたい方には、粉末やスプレータイプが向いています。
種類別の特徴の比較
ロウの種類ごとの特徴を、表にまとめました。
| 種類 | 使い方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 固形タイプ | 荷台にこすりつけて塗る | 扱いやすく長持ちする | 広い荷台は塗るのに力と時間がかかる |
| 粉末タイプ | 荷台にまいて広げる | 広い範囲に手早く塗れる | 荷物の底に粉が付くことがある |
| スプレータイプ | 荷台に吹きかける | ムラが出にくく作業が早い | 商品ごとに使える素材や使い方が異なる |
どのタイプを使うかは、会社や先輩ドライバーのやり方に合わせるのが基本です。職場で決まった道具がある場合も多いので、まずは確認してみましょう。
トラックの荷台へのロウの塗り方
ロウは、正しい手順で塗ると効果が長持ちします。ここでは、一般的な固形タイプのロウを例に、塗り方を紹介します。
塗る前の準備(掃除・乾燥)
ロウを塗る前に、荷台の床をきれいに掃除しておくことが大切です。
床に砂やほこり、段ボールのくずが残ったままだと、ロウがうまくなじみません。汚れの上からロウを塗ると、ザラザラした仕上がりになり、滑りも悪くなります。
準備の流れは次のとおりです。
- ほうきで荷台全体のゴミやほこりを掃き出す
- 汚れがひどい場合は、ぞうきんで拭き取る
- 床が濡れている場合は、しっかり乾かす
濡れた床にロウを塗ると、うまく広がらずムラの原因になります。ひと手間かけて準備することで、仕上がりが大きく変わります。
ロウを塗る手順
準備ができたら、いよいよロウを塗っていきます。
- 荷台の奥から手前に向かって、固形のロウを床に軽くこすりつける
- 荷物を滑らせる方向に沿って、まんべんなく塗る
- 塗り終わったら、乾いたタオルで床全体を拭いてなじませる
奥から塗り始めるのは、塗ったばかりの床の上を歩かないようにするためです。手前から塗ると、ロウを塗った場所を踏んで滑りやすくなります。
強く押しつけすぎず、薄く均一に塗るのがコツです。最後にタオルで拭き上げると、ロウが床になじんで滑りが安定します。
塗る頻度とタイミングの目安
ロウを塗り直すタイミングは、荷物の滑りが悪くなってきたと感じたときが目安です。
荷物の積み下ろしを繰り返すうちに、ロウは少しずつすり減っていきます。どのくらいの頻度で塗るかは、運ぶ荷物の量や種類によって変わります。
ロウは熱に弱いため、夏場は減りが早くなりやすい傾向があります。暑い季節は、いつもより塗る回数を増やすなど調整しましょう。
職場によっては、週に1回などと塗るタイミングを決めている場合もあります。先輩ドライバーにやり方を聞いておくと安心です。
トラックの荷台にロウを塗るときの注意点
ロウは便利な道具ですが、使い方を間違えるとトラブルの原因にもなります。安全に使うために、注意点を押さえておきましょう。
足元が滑りやすくなるため転倒に気をつける
ロウを塗った荷台は、荷物だけでなく人の足元も滑りやすくなります。
荷台の上で足を滑らせると、転んでけがをするおそれがあります。荷台から地面に落ちてしまうと、大きな事故につながりかねません。
転倒を防ぐために、次の点を意識しましょう。
- 底が滑りにくい作業靴や安全靴をはく
- ロウを塗りすぎず、薄く均一に塗る
- 荷台の上では急いで走らず、足元を確認しながら歩く
荷台の端に立つときは、特に注意が必要です。安全に作業することを、何よりも優先してください。
荷物の固定を忘れず荷崩れを防ぐ
ロウで荷台が滑りやすくなると、走行中に荷物が動きやすくなる点にも注意が必要です。
ブレーキをかけたときやカーブを曲がったときに荷物が動くと、荷崩れの原因になります。荷崩れとは、積んでいた荷物がくずれたり倒れたりすることです。
荷崩れを起こすと、荷物が壊れるだけでなく、扉を開けたときに荷物が落ちてきて危険です。
ロウを塗った荷台では、ラッシングベルトなどで荷物をしっかり固定することが欠かせません。ラッシングベルトとは、荷物を荷台の壁などに固定するためのベルトのことです。
会社や荷主のルールを確認する
ロウを使う前に、会社や荷主のルールを確認しておきましょう。
荷主とは、運送を依頼する会社や人のことです。運ぶ荷物によっては、ロウが荷物の底に付くことを嫌がる荷主もいます。
特に、粉末タイプのロウは、段ボールの底に付着することがあります。食品や精密機械などを運ぶ場合は、ロウの使用を控えるよう求められるケースもあるようです。
自己判断でロウを使うと、思わぬトラブルになりかねません。分からないときは、上司や先輩ドライバーに相談してから使いましょう。
未経験でも安心して働けるトラックドライバーという選択肢
ここまで読んで「荷台の作業って難しそう」と感じた方もいるかもしれません。実際には、未経験から始めて活躍しているドライバーがたくさんいます。
荷台の作業のコツは入社後に覚えられる
ロウ塗りなどの荷台の作業は、入社してから覚えれば十分です。
多くの運送会社では、未経験者向けに先輩ドライバーが同乗して仕事を教える研修を用意しています。ロウの塗り方や荷物の積み方も、実際の現場で一つひとつ教えてもらえます。
最初はうまくできなくても、何度か繰り返すうちに自然とコツがつかめます。
分からない言葉が出てきたら、その都度質問すれば大丈夫です。専門用語を知らないことは、未経験からトラックドライバーを目指すうえで不利にはなりません。
力に自信がない女性でも工夫次第で働ける
トラックドライバーの仕事は「力が必要」というイメージを持たれがちです。実際には、道具や工夫で体への負担を減らせる場面がたくさんあります。
- ロウを塗って、荷物を押すだけで動かせるようにする
- 台車やカゴ台車を使って、荷物をまとめて運ぶ
- 重い荷物は無理をせず、ほかのスタッフと協力して運ぶ
カゴ台車とは、キャスターが付いたカゴ型の台車のことで、たくさんの荷物を一度に運べます。
道具を上手に使いこなせば、力に自信がない女性でも無理なく作業できます。力よりも、効率よく作業する工夫が大切な仕事です。
手積み・手下ろしの少ない仕事も選べる
トラックドライバーの仕事には、手積み・手下ろしが少ないものもたくさんあります。
| 仕事の種類 | 荷物の積み下ろし方法 |
|---|---|
| パレット輸送 | 荷物を載せた台(パレット)ごと、フォークリフトで積み下ろしする |
| カゴ台車での配送 | カゴ台車ごと荷台に載せて運ぶ |
| ルート配送 | 決まった配送先を回る。荷物が軽めの仕事も多い |
パレットとは、荷物を載せてフォークリフトで運ぶための平たい台のことです。求人を探すときは「手積み・手下ろしなし」「フォークリフト作業あり」などの記載をチェックしましょう。自分の体力に合った仕事を選べば、長く安心して働けます。
トラックのロウに関するよくある質問
最後に、トラックのロウについてよく寄せられる質問にお答えします。気になる疑問の答えを確認しておきましょう。
ロウはどこで買える?
トラック用のロウは、トラック用品店や通販サイトで購入できます。
「荷台用ロウ」「滑りロウ」などの名前で販売されていることが多く、物流用品を扱う通販サイトでも手に入ります。ホームセンターで取り扱っている場合もあります。
会社によっては、ロウを会社の備品として用意しているケースもあります。
自分で買う前に、まずは職場で使っているロウがあるかどうかを確認しましょう。会社で決まった商品を使うほうが、荷主とのトラブルも防げます。
ロウの代わりになるものはある?
ロウ以外にも、荷台での荷物の移動を楽にする方法があります。
- 荷台の床に、滑りのよいシートや保護材を敷く
- 台車やカゴ台車を使って、荷物を運ぶ
- 荷物をパレットに載せて、フォークリフトで積み下ろしする
家庭用のワックスや油などを自己判断で代わりに使うのは避けましょう。荷物を汚したり、滑りすぎて危険な状態になったりするおそれがあります。ロウの代わりを使いたいときは、必ず会社に相談してから試してください。
ロウを塗りすぎたときの対処法は?
ロウを塗りすぎてしまったときは、乾いたタオルで床をしっかり拭き取りましょう。
ロウを塗りすぎると、荷台の床がツルツルになりすぎて、足元が滑りやすくなります。荷物も必要以上に動きやすくなり、荷崩れの原因にもなります。
拭き取っても滑りやすい場合は、ほうきで余分なロウのかすを掃き出すと落ち着くことがあります。
ロウは「少し足りないかな」と感じるくらいの量から塗り始めるのがコツです。様子を見ながら少しずつ足していけば、塗りすぎを防げます。
ロウ塗りは会社がやってくれる?
ロウ塗りを誰が担当するかは、会社によって異なります。
決まったトラックに乗るドライバーの場合は、自分の車両の手入れとしてロウ塗りを行うケースが一般的です。会社によっては、整備担当のスタッフが荷台の手入れをしている場合もあります。
ロウ塗りは慣れれば短時間でできる作業なので、過度に心配する必要はありません。
入社前に気になる場合は、面接で「荷台の手入れは誰が担当するか」を聞いておくと安心です。
まとめ
トラックでいう「ロウ」は、荷台での作業を楽にしてくれる便利な道具です。記事のポイントを振り返ります。
- トラックの「ロウ」とは、荷台の床に塗って荷物を滑りやすくするワックスのこと
- ロウを塗ると、荷物の積み下ろしが楽になり、腰や腕の負担も減らせる
- ロウには固形・粉末・スプレーなどの種類があり、職場のやり方に合わせて選ぶ
- 塗る前に荷台を掃除し、奥から手前へ薄く均一に塗るのがコツ
- 足元の転倒や荷崩れに注意し、会社や荷主のルールを確認して使う
ロウ塗りのような荷台の作業は、未経験でも入社後に十分覚えられます。道具を上手に使えば、力に自信がない方でも無理なく働けます。
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