
長距離輸送の求人情報を見ていて「2人乗務の特例」という言葉を目にし、具体的にどんな仕組みなのか分からず困った経験はありませんか。労働時間に関するルールは複雑で、条文だけを読んでも理解しづらいものです。この記事では、以下の内容を分かりやすく解説します。
- 2人乗務の特例の意味と内容
- 特例が適用される条件
- 利用する際の注意点
- 2人乗務が採用される背景と実際の運用
- トラックドライバーという仕事の選択肢
読み終えるころには、2人乗務の特例について安心して理解できるようになるはずです。
目次
2人乗務の特例とはトラック運転者の拘束時間に関するルール
トラック運転者の労働時間には、改善基準告示という国の基準が定められています。まずは「2人乗務の特例」がどのようなルールなのか、基本から見ていきます。
2人乗務の意味
2人乗務とは、1台のトラックに2人以上のドライバーが同時に乗務する運行のことです。一般的にツーマン運行とも呼ばれ、長距離輸送で運転を交代しながら走行する際に採用される乗務形態です。改善基準告示では、2人以上が同時に乗務する場合はすべて2人乗務として扱われるとされています。
2人乗務の特例の内容
2人乗務の特例とは、トラックの車内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合に、1日の拘束時間や休息期間の基準を変更できるルールのことです。通常の拘束時間の上限は1日15時間とされていますが、この特例が適用されると、拘束時間を最大20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮できるとされています。運転していない側のドライバーが車内で身体を休められる環境があることが前提となっている仕組みです。
通常の拘束時間・休息期間との違い
通常のルールと2人乗務の特例との違いを表にまとめました。
| 区分 | 拘束時間の上限 | 休息期間 |
|---|---|---|
| 通常のルール | 1日15時間(週2回まで16時間) | 継続11時間を基本とし9時間を下回らない |
| 2人乗務の特例 | 1日20時間まで延長可能 | 4時間まで短縮可能 |
特例が適用されるかどうかは、車内の設備が基準を満たしているかどうかによって判断されます。設備が整っていない場合は、通常のルールが適用される点に注意が必要です。
2人乗務の特例が適用される条件
2人乗務の特例は、誰もが自由に使える仕組みではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、適用される具体的な条件を紹介します。
車内で休息できる設備があること
特例の適用には、トラックの車内に身体を伸ばして休息できる設備があることが前提条件になります。運転席とは別に横になれるスペースが確保されていない車両では、特例の対象外となる場合があります。長距離輸送を行う車両では、こうした休息設備の有無が乗務形態を左右する重要な要素です。
拘束時間20時間までの延長
車内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合、1日の拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮できるとされています。これにより、長距離の輸送であっても2人が交代で運転と休息を繰り返しながら、目的地まで走行できる仕組みが整えられています。
拘束時間24時間までの延長(特定の輸送における特例)
2024年の改善基準告示の見直しでは、馬匹輸送(競走馬の輸送)における運行実態を踏まえ、特定の条件を満たす車両内ベッドがある場合には、1日の拘束時間を24時間まで延長できる特例が新たに設けられました。この特例が適用される車両内ベッドには、長さ198センチメートル以上、幅80センチメートル以上で、走行中の衝撃を緩和するクッション材などが備わっている必要があるとされています。この場合、運行終了後の休息期間は11時間以上確保することが求められます。
2人乗務の特例を利用する際の注意点
2人乗務の特例は便利な仕組みですが、運用にあたって気をつけるべき点もいくつかあります。
走行中にベッドを使用できない場合がある
車両内のベッドが安全な乗車を確保できない構造になっている場合、走行中にもう一人のドライバーがベッドを使用することは認められないとされています。安全性が確保された設備であることが、特例を正しく運用するための前提条件になります。
休息期間の確保が必須である
拘束時間を延長できる特例であっても、休息期間そのものをなくせるわけではありません。定められた休息期間を確実に確保することが、ドライバーの安全運転を支えるうえで欠かせない要素です。特例を利用する場合でも、休息のタイミングや長さを事前に計画しておくことが重要になります。
特例はあくまで例外的な取り扱いである
2人乗務の特例は、通常のルールでは対応が難しい長距離輸送などの実態に合わせて設けられた例外的な仕組みです。
- 特例の適用条件を正しく理解しておく
- 車両の設備が基準を満たしているか事前に確認する
- 休息期間を確実に確保できるよう運行計画を立てる
これらを意識することで、特例を安全に活用しながら、ドライバーの負担を抑えた運行につなげやすくなります。
2人乗務が採用される背景と実際の運用
なぜ長距離輸送の現場で2人乗務が採用されるのでしょうか。背景を知ることで、特例の意義がより理解しやすくなります。
2024年問題と改善基準告示の見直し
2024年4月には、トラック運転者の時間外労働の上限規制とあわせて、改善基準告示の内容が見直されました。ドライバーの長時間労働を防ぎながら、安全な輸送体制を維持することを目的とした改正とされています。いわゆる2024年問題として物流業界全体で注目された背景には、こうした労働時間ルールの厳格化があります。
長距離輸送で2人乗務が選ばれる理由
長距離輸送では、1人のドライバーだけで運転を続けると、拘束時間や休息期間の制約により、目的地への到着に時間がかかる場合があります。2人で交代しながら運転することで、走行時間を確保しつつ、それぞれのドライバーが適切に休息を取れる体制を整えやすくなります。荷主から到着時間を厳しく求められる輸送では、こうした乗務形態が選ばれる傾向があります。
2人乗務のメリット・デメリット
2人乗務には、運転の負担を分担できる、長距離を効率よく走行できるといったメリットがあります。一方で、車両に休息設備を備える必要があることや、2人分の人件費がかかることはデメリットとして挙げられます。運送会社は、こうした特性を踏まえたうえで、路線や荷物の特性に応じて乗務形態を選択しています。
トラックドライバーという選択肢
ここまで2人乗務の特例について紹介してきましたが、労働時間のルールがしっかり定められていると知り、安心した方もいるのではないでしょうか。トラックドライバーという仕事について、収入や働きやすさの面から具体的に見ていきます。
収入・雇用の安定性
物流業界は、生活に欠かせないインフラを支える存在として、安定した需要が続いているとされています。運送会社によっては、経験や資格に応じた手当が用意されている場合もあります。普通免許でも運転できる小型トラックの求人から始められるため、未経験者でも挑戦しやすい環境が整いつつあります。2017年3月以降に取得した普通免許では運転できる車両の範囲が変更されているため、応募前に自身の免許区分を確認しておくと安心です。
未経験からの転職
労働時間のルールや乗務形態については、入社時の説明や研修を通じて丁寧に案内する会社が多く見られます。改善基準告示によって拘束時間や休息期間の基準が定められているため、未経験からでも安心して働ける環境が法律面からも整えられています。最初は近距離のルート配送から始め、経験を積みながら長距離輸送に挑戦する道を選ぶことも可能です。
子育てとの両立
近距離のルート配送であれば、勤務時間が決まりやすく、家庭との両立を目指しやすい働き方のひとつです。長距離輸送に比べて宿泊を伴う運行が少ないため、生活リズムを整えやすい点もメリットといえます。一方で、荷物の積み下ろしには体力を要する場面もあるため、求人票で作業内容を事前に確認しておくことが大切です。
2人乗務の特例に関するよくある質問
最後に、2人乗務の特例に関してよく寄せられる疑問をまとめました。
2人乗務の特例はすべてのトラックに適用されますか
すべての車両に適用されるわけではありません。車内に身体を伸ばして休息できる設備があることが前提条件となるため、設備が整っていない車両では通常のルールが適用されます。
2人乗務では拘束時間が延びる分、負担も大きくなりますか
拘束時間の上限は延長されますが、あわせて休息期間の基準も定められています。休息を適切に取ることで、1人で長距離を運転する場合に比べて、負担を分散しやすくなる面もあります。
改善基準告示はどこで詳しく確認できますか
厚生労働省や国土交通省が公開している資料で、改善基準告示の詳細を確認できます。運送会社に所属する場合は、入社時の研修や説明会で案内される内容もあわせて確認しておくと安心です。
2人乗務の求人は未経験でも応募できますか
会社によって条件は異なりますが、まずは1人での近距離配送から経験を積み、その後に長距離輸送や2人乗務に挑戦する流れが一般的とされています。応募前に求人票で必要な経験の有無を確認しておくと良いでしょう。
まとめ
2人乗務の特例というトラック運転者の労働ルールについて、内容や背景を振り返ります。
- 2人乗務とは、1台のトラックに2人以上のドライバーが同時に乗務する運行のことである
- 特例が適用されると、拘束時間を最大20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮できる
- 特定の条件を満たす車両内ベッドがある場合は、拘束時間を24時間まで延長できる特例もある
- 特例の適用には、車内で身体を伸ばして休息できる設備があることが前提条件となる
- 2024年の改善基準告示の見直しにより、ドライバーの労働時間に関するルールが整備された
労働時間のルールを理解しておくことは、これからトラックドライバーを目指す方にとっても安心材料のひとつになります。物流を支えるトラックドライバーの仕事に興味を持った方、トラックドライバーへの転職を検討中なら、ぜひ「トラガール」をご覧ください。

