
トラックドライバーとして働くなかで、「分割休息」という言葉を聞いたことはありませんか。
トラックドライバーには、勤務終了後に一定時間以上の休息期間を確保することが定められています。しかし、業務の必要上、継続した休息期間を確保することが難しい場合には、「分割休息」という特例を利用できることがあります。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 分割休息特例の基本的な仕組み
- 分割休息を利用できる条件
- 2分割・3分割する場合の休息時間
- 2024年4月からの改善基準告示
- トラックドライバーが休息期間について確認したいポイント
分割休息は、いつでも自由に利用できる制度ではありません。本来は継続した休息期間を確保することが基本であり、分割休息は一定の条件を満たす場合に利用できる特例です。正しいルールを理解しておきましょう。
目次
トラックドライバーの分割休息特例とは?
トラックドライバーには、勤務終了後に一定時間以上の休息期間を確保するための基準があります。まずは通常の休息期間と、分割休息特例の基本的な仕組みについて確認しましょう。
通常は継続11時間以上の休息を基本とする
トラックドライバーの休息期間は、勤務終了後に継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないこととされています。
ここでいう「休息期間」とは、勤務と次の勤務の間にある、ドライバーが自由に利用できる時間のことです。単なる休憩時間とは異なり、仕事から離れて睡眠や生活などに充てられる時間を指します。
十分な休息期間を確保することは、ドライバーの疲労回復や安全な運行のためにも重要です。
継続9時間以上の休息が難しい場合に利用できる特例
業務の必要上、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定の条件を満たすことで休息期間を分割して与えることができます。これが「分割休息特例」です。
ただし、分割休息は通常の休息方法に代わって自由に選択できるものではありません。継続した休息期間を確保することが基本であり、業務の必要上やむを得ない場合に利用する特例として位置づけられています。
分割休息はできる限り避けることが基本
分割休息を利用すれば、休息期間を複数回に分けることができます。しかし、まとまった休息を取る場合と比べて、疲労回復や睡眠時間の確保に影響する可能性があります。
そのため、分割休息は本来できる限り避けるべきものとされており、分割休息を前提とした運行計画についても、できる限り避けることが求められています。
「最初から毎回分割すればよい」という制度ではない点を理解しておきましょう。
分割休息特例を利用するための条件
分割休息特例には、休息時間や利用回数などについて細かな条件が設けられています。ここでは、基本的なルールを確認します。
1回あたり継続3時間以上の休息が必要
休息期間を分割する場合、1回あたりの休息期間は継続3時間以上でなければなりません。
例えば、1時間や2時間程度の短い休息を何度も取って合計時間を満たしても、分割休息特例の条件を満たすことにはなりません。
また、分割する回数によって必要な合計休息時間が異なります。
2分割の場合は合計10時間以上
休息期間を2回に分割する場合は、1回あたり継続3時間以上としたうえで、2回の休息期間を合計して10時間以上確保する必要があります。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 分割回数 | 2回 |
| 1回あたりの休息期間 | 継続3時間以上 |
| 休息期間の合計 | 10時間以上 |
例えば、5時間と5時間に分けて休息を取れば合計10時間となります。一方、3時間と6時間では合計9時間となるため、条件を満たしません。
3分割の場合は合計12時間以上
休息期間を3回に分割する場合も、それぞれの休息期間を継続3時間以上確保する必要があります。さらに、3回の休息期間を合計して12時間以上とする必要があります。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 分割回数 | 3回 |
| 1回あたりの休息期間 | 継続3時間以上 |
| 休息期間の合計 | 12時間以上 |
また、3分割となる日が連続しないよう努めることとされています。4分割以上の休息は認められていません。
一定期間における全勤務回数の2分の1が限度
分割休息特例は、すべての勤務で利用できるわけではありません。一定期間における全勤務回数の2分の1を限度とする必要があります。
また、この「一定期間」は1か月程度を限度とされています。
分割休息を前提とした勤務が続かないようにし、可能な限り継続した休息期間を確保することが重要です。
2024年4月から分割休息のルールはどう変わった?
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は改正され、2024年4月から新しい基準が適用されています。分割休息についても一部の基準が見直されました。
1回あたりの休息期間が4時間以上から3時間以上へ
改正前の分割休息では、1回あたり継続4時間以上の休息期間を確保する必要がありました。
2024年4月以降は、1回あたり継続3時間以上に変更されています。
ただし、最低時間が短くなったからといって、積極的に休息を細かく分割することが推奨されているわけではありません。継続した休息期間を確保することが基本である点は変わりません。
3分割の場合は合計12時間以上
2024年4月からの基準では、3分割する場合について、1回あたり継続3時間以上、合計12時間以上とすることが定められています。
また、3分割となる日が連続しないよう努めることとされています。
なお、「2024年4月の改正によって初めて3分割が可能になった」というわけではありません。改正前にも3分割は可能でした。今回の改正では、1回あたりの最低休息時間などの基準が見直されています。
一定期間は1か月程度が限度
分割休息を利用する際の「一定期間」については、1か月程度を限度とすることとされています。
さらに、その一定期間における全勤務回数の2分の1を限度として分割休息を利用できます。
分割休息はあくまで例外的な取り扱いであることを理解し、可能な限り継続した休息を確保することが大切です。
分割休息と長距離貨物運送の特例の違い
トラックドライバーの休息期間には、分割休息とは別に、長距離貨物運送に関する特例があります。混同しやすいため、それぞれの違いを理解しておきましょう。
長距離貨物運送では休息期間の特例がある
一週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、一運行における休息期間が住所地以外の場所であることなど、一定の条件を満たす場合には、休息期間について別の特例があります。
ここでいう長距離貨物運送とは、一運行の走行距離が450km以上の貨物運送を指します。
週2回まで継続8時間以上とすることができる
一定の条件を満たす長距離貨物運送では、一週間について2回を限度として、休息期間を継続8時間以上とすることができます。
ただし、休息期間が9時間を下回った場合には、一運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与える必要があります。
単に「長距離を走るから8時間でよい」というルールではありません。適用には複数の条件があるため注意しましょう。
分割休息とは別の特例
分割休息特例は、業務の必要上、継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に、休息期間を複数回に分ける制度です。
一方、長距離貨物運送の特例は、一定の条件を満たす長距離運行について、休息期間を継続8時間以上とできる制度です。
それぞれ適用条件や休息期間のルールが異なるため、同じ制度として考えないようにしましょう。
分割休息を利用する際の注意点
分割休息特例を正しく利用するためには、単に合計休息時間を確認するだけでは不十分です。ここでは、特に注意したいポイントを紹介します。
分割休息を前提とした運行計画はできる限り避ける
分割休息は、業務の必要上、継続9時間以上の休息期間を確保することが難しい場合に利用する特例です。
そのため、最初から分割休息を前提として運行スケジュールを組むことは、できる限り避けるべきとされています。
まずは通常の休息期間を確保できる運行計画を検討し、分割休息は必要な場合に限って利用することが重要です。
休息時間だけでなく回数も確認する
分割休息では、1回あたりの時間や合計時間だけでなく、利用できる勤務回数にも制限があります。
一定期間における全勤務回数の2分の1を超えていないか、3分割の日が連続していないかなども確認する必要があります。
ドライバー自身も勤務時間や休息時間を把握しておくと、働き方を確認する際に役立ちます。
十分に休めているかも大切
改善基準告示の数字を満たしていても、疲労の感じ方には個人差があります。特に分割休息では、まとまった睡眠時間を確保しにくくなる場合があります。
眠気や疲労を感じた状態で無理に運転することは避け、安全を最優先にすることが重要です。休息の取り方や勤務状況に不安がある場合は、勤務先の運行管理者や労務担当者などに相談しましょう。
トラックドライバーとして働く際に確認したいポイント
トラックドライバーへの転職を考える際は、給与や仕事内容だけでなく、勤務時間や休息期間についても確認することが大切です。
運行スケジュールを確認する
同じトラックドライバーでも、近距離配送、中距離配送、長距離輸送などによって勤務時間や休息の取り方は異なります。
求人を見る際は、出勤・退勤時間だけでなく、1日の拘束時間や運行スケジュール、泊まり運行の有無なども確認しましょう。
休息期間や休日について確認する
求人票に記載された休日数だけでなく、勤務終了から次の勤務までにどの程度の休息期間を確保できるのかも重要なポイントです。
特に長距離輸送を希望する場合は、どのような運行スケジュールになっているのか、分割休息を利用することがあるのかなどを確認しておくとよいでしょう。
自分の生活に合った求人を選ぶ
勤務時間や配送エリア、休日などの条件は会社や求人によって異なります。
子育てや家庭との両立を希望する場合は、勤務時間、残業、休日、泊まり運行の有無、急な休みへの対応などを確認し、自分の生活に合った職場を選ぶことが大切です。
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分割休息特例に関するよくある質問
最後に、トラックドライバーの分割休息特例について疑問に感じやすいポイントをまとめました。
分割休息は毎日利用できますか?
分割休息は通常の休息方法として毎日利用することを前提とした制度ではありません。一定期間における全勤務回数の2分の1が限度であり、その一定期間も1か月程度を限度とされています。
また、分割休息そのものが本来できる限り避けるべきものとされているため、可能な限り継続した休息期間を確保することが基本です。
休息を4回以上に分けても合計時間を満たせば大丈夫ですか?
いいえ。分割休息は2分割または3分割で行い、4分割以上は認められていません。
2分割の場合は1回あたり継続3時間以上・合計10時間以上、3分割の場合は1回あたり継続3時間以上・合計12時間以上を確保する必要があります。
3分割の休息を連日行うことはできますか?
3分割となる日が連続しないよう努めることとされています。分割休息はできる限り避けるべきものとされているため、3分割を前提とした運行が続かないよう配慮することが重要です。
会社から分割休息を指示された場合、拒否できますか?
改善基準告示に、ドライバーが分割休息を自由に拒否できるとする規定が設けられているわけではありません。
ただし、分割休息は業務の必要上、継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に利用する特例であり、できる限り避けるべきものとされています。分割休息が続いている場合や、休息時間・勤務状況に不安がある場合は、勤務先の運行管理者や労務担当者などに相談しましょう。
女性ドライバーにも同じ基準が適用されますか?
改善基準告示による休息期間や分割休息の基準は、性別によって異なるものではありません。女性ドライバーにも同じ基準が適用されます。
転職する際は性別にかかわらず、勤務時間や休息期間、運行内容などを確認し、自分に合った働き方ができる職場を選びましょう。
まとめ
分割休息特例とは、業務の必要上、トラックドライバーに継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に、一定の条件を満たすことで休息期間を分割できる制度です。今回の内容を振り返ります。
- 通常の休息期間は継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
- 分割休息は業務の必要上、継続9時間以上の休息が困難な場合に利用できる特例
- 分割する場合は1回あたり継続3時間以上の休息が必要
- 2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上が必要
- 4分割以上は認められていない
- 一定期間における全勤務回数の2分の1が限度
- 一定期間は1か月程度が限度
- 3分割となる日が連続しないよう努める
- 分割休息を前提とした運行計画はできる限り避ける
分割休息は、休息時間を自由に分割できる制度ではありません。本来は継続した休息期間を確保することが基本であり、業務の必要上やむを得ない場合に利用する特例です。
トラックドライバーとして働く際は、給与や仕事内容だけでなく、拘束時間や休息期間、運行スケジュールなども確認して、自分に合った職場を選びましょう。
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