
「個人事業主のドライバーになると、手取りはいくらになるのだろう」と気になっていませんか。求人に「月収50万円以上」と書かれていても、そのまま手元に残るわけではありません。
この記事では、個人事業主ドライバーの手取りについて、次のことがわかります。
- 売上から手取りまでに引かれるお金の中身
- 売上別の手取りの目安
- 手取りを増やすための具体的な方法
- 会社員ドライバーとの違いと向いている人
結論からお伝えすると、個人事業主ドライバーの手取りは、売上の6割前後に収まる例が多いとされています。数字の見方を知れば、働き方を選ぶときの不安は小さくなります。
目次
個人事業主ドライバーの手取りが売上より少なくなる理由
個人事業主は、会社に雇われず自分で仕事を請け負う働き方です。会社員と違い、経費や税金、保険料を自分で払います。ここでは、手取りが減る仕組みを順番に見ていきます。
手取りは「売上-経費-税金・保険料」で決まる
手取りとは、実際に自由に使えるお金のことです。計算式は次のとおりです。
- 売上(運賃の合計)
- - 経費(車の費用・燃料代など)
- - 税金(所得税・住民税・個人事業税)
- - 社会保険料(国民健康保険・国民年金)
つまり、売上がそのまま手取りになることはありません。求人の「報酬額」は売上にあたると考えておくと、判断を誤りません。
会社員とは「引かれ方」が違う
会社員は、給与から税金や保険料が自動で引かれます。会社が保険料の半分を負担する仕組みもあります。
個人事業主は、保険料を全額自分で払います。国民健康保険と国民年金は、会社の健康保険・厚生年金と制度が異なり、会社負担がありません。さらに、ガソリン代や車の修理代も自己負担です。
売上から引かれる主な費用と金額の目安
ドライバーの個人事業主として多いのは、軽貨物(軽自動車を使う配送)の仕事です。軽貨物を始めるには、運輸局への届出と黒いナンバープレートの取得が必要です。ここでは費用の中身を整理します。
毎月かかる経費の内訳
毎月の経費は、おおむね次の項目です。金額は地域や車種で変わるため、あくまで一般的な目安です。
| 項目 | 月の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 燃料代 | 2万〜6万円前後 | 走行距離で大きく変わる |
| 車両費(リース・ローン) | 2万〜5万円前後 | 自分の車なら減価償却で処理 |
| 任意保険(貨物用) | 1万〜3万円前後 | 事業用は自家用より高め |
| 駐車場代 | 0円〜2万円前後 | 自宅の有無で差が出る |
| 整備・タイヤ・車検積立 | 1万〜2万円前後 | 走行が多いほど増える |
| 通信費・その他 | 数千円〜1万円前後 | スマホやアプリ代など |
合計すると、月の経費は売上の2〜3割ほどになる例が多いと言われています。表の金額をそのまま信じず、自分の条件で試算することが大切です。
見落としやすい税金と保険料
経費のほかに、税金と保険料が引かれます。
- 国民健康保険料(前年の所得で決まり、自治体で差がある)
- 国民年金保険料(月額は約1万7千円台で、年度により改定される)
- 所得税・住民税(利益が増えるほど増える)
- 個人事業税(業種や所得によって対象になる場合がある)
注意したいのは、住民税や国民健康保険料は、翌年に請求が来る点です。始めた年に余裕があっても、翌年の支払いで苦しくなる人がいます。納税用に売上の一部を取り分けておくと安心です。
また、事故やけがに備える労災保険は、個人事業主は原則として入れません。一人親方などの特別加入制度や、民間の傷害保険で備える必要があります。
売上別に見る手取りの目安
次に、売上ごとの手取りを大まかに試算します。経費を売上の25%、税金・保険料を10〜15%と置いた、あくまで一例です。
月売上50万円・60万円・70万円の場合
| 月の売上 | 経費(約25%) | 税金・保険料(約12%) | 手取りの目安 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 約12.5万円 | 約6万円 | 約31万円 |
| 60万円 | 約15万円 | 約7万円 | 約38万円 |
| 70万円 | 約17.5万円 | 約9万円 | 約43万円 |
売上50万円でも、手元に残るのは30万円台になる計算です。「売上」と「手取り」を区別して求人を見ることが、最初の一歩です。
実際の手取りがブレる3つの理由
同じ売上でも、手取りが変わる理由があります。
- 稼働日数と休みの取り方(休むと売上が止まる)
- 荷物の単価と配達件数(地域や案件で差が大きい)
- 節税の工夫の有無(青色申告かどうか)
案件によっては、燃料代や車両のリース料が報酬から差し引かれる契約もあります。契約書で「何が自己負担か」を必ず確認してください。契約内容の確認は、手取りを守る基本です。
手取りを増やすための具体的な方法
手取りは、少しの工夫で変わります。無理に長く働く前に、できることから見直しましょう。
青色申告で税金を抑える
青色申告は、事前に届出を出して帳簿をつける申告方法です。条件を満たすと、最大65万円の特別控除を受けられます。控除とは、課税される金額から差し引ける金額のことで、税金が下がる効果があります。電子申告などの要件があるため、税務署や会計ソフトで確認しましょう。
経費にできるものを漏れなく記録する
仕事に使った費用は、経費にできる場合があります。たとえば次のものです。
- ガソリン代・高速代・駐車料金
- 車の修理代・タイヤ・オイル交換
- 配達用のスマホ代(仕事で使った割合分)
- 作業用の手袋・台車・保冷バッグ
日々のレシートは、スマホで撮って残すと整理が楽です。経費の記録漏れは、そのまま手取りの減少につながります。ただし、私用との区別が必要なので、迷うときは税務署か税理士に相談してください。
単価の高い案件と効率の良いルートを選ぶ
荷物1個あたりの報酬が高い案件や、配達エリアが狭い案件ほど、燃料代や時間のムダが減ります。「件数」より「1時間あたりの利益」で案件を比べると、長く続けやすくなります。
会社員ドライバーとの違いと、向いている人
手取りの額だけでなく、安定性や働き方の違いも比べておきましょう。
個人事業主と会社員ドライバーの比較
| 項目 | 個人事業主 | 会社員ドライバー |
|---|---|---|
| 収入 | 働いた分だけ増減する | 基本給などで安定しやすい |
| 車・燃料代 | 自己負担が中心 | 会社が負担する例が多い |
| 保険・年金 | 国民健康保険・国民年金 | 社会保険・厚生年金(会社が半分負担) |
| 労災・各種手当 | 原則なし(特別加入あり) | 労災・賞与・退職金などが期待できる |
| 自由度 | 休みや働く時間を決めやすい | シフトや配車に従う |
自由度は個人事業主が高い一方、収入の安定と手厚い保障は会社員が上回ります。どちらが良いかは、優先したいことで決まります。
個人事業主に向いている人・向いていない人
向いているのは、自分で数字を管理でき、収入のゆらぎを受け入れられる人です。車の故障や体調不良で稼働できない月があっても、貯えで乗り切れる人にも向いています。
反対に、毎月決まった収入が欲しい人や、事故のリスクをひとりで負うのが不安な人には、負担が大きい働き方です。
トラックドライバーという選択肢
手取りの安定を重視するなら、会社に所属するトラックドライバーも有力な選択肢です。個人事業主と比べて、収入や保障の面で安心しやすい特徴があります。
収入と保障の安定性
会社に所属すれば、車両費や燃料代は会社負担が一般的です。社会保険や労災、賞与、退職金制度が整う会社もあります。毎月の収入が見通しやすいため、家計の計画を立てやすくなります。条件は会社ごとに異なるので、求人票で確認しましょう。
未経験・女性でも始めやすい環境
最近は、女性ドライバーの採用に力を入れる会社が増えています。未経験者向けの研修や、同乗指導がある会社もあります。普通免許からでも、条件を満たせば運転できる車両から始められます。
はじめは会社員として経験を積み、慣れてから独立を考える道もあります。経験を積んでから個人事業主になれば、案件選びや経費管理の判断もしやすくなります。
個人事業主ドライバーの手取りに関するよくある質問
手取り30万円は個人事業主ドライバーでも可能ですか。
可能な例はあります。ただし、手取り30万円には、売上で50万円前後が必要になる場合があります。案件の単価や稼働日数によるため、契約前に試算しましょう。
開業にはいくらくらい必要ですか。
車両の購入やリース、黒ナンバーの手続き、保険の加入などで費用がかかります。金額は車の状態や契約で大きく変わるため、一概には言えません。生活費の数か月分の貯えも用意すると安心です。
確定申告は必ず必要ですか。
所得が一定額を超える場合などは、確定申告が必要です。経費を認めてもらうためにも、申告は行うのが基本です。詳しくは税務署や税理士に確認してください。
インボイス制度への登録は必要ですか。
取引先が事業者で、登録を求められる場合があります。登録すると、消費税の納税が生じることがあります。契約先の方針を確認して、判断しましょう。
まとめ
個人事業主ドライバーの手取りについて、ポイントを振り返ります。
- 手取りは「売上-経費-税金・保険料」で決まる
- 手取りは売上の6割前後に収まる例が多い
- 国民健康保険や住民税は翌年に請求が来るため、取り分けておく
- 青色申告や経費の記録、案件選びで手取りは変わる
- 安定を重視するなら、会社に所属する選択肢もある
「売上」と「手取り」を分けて考えれば、働き方の選び方がぐっと明確になります。
トラックドライバーへの転職を検討中なら、ぜひ「トラガール」をご覧ください。


