
「扶養を外れて働くと、実際に収入は増えるの?」
「社会保険料の負担が増えて、損をしてしまうんじゃないかな…」
とお悩みではないでしょうか。
扶養を外れて働くことには、収入アップ以外にも将来の年金や保障面で多くのメリットがあります。ただし、年収によっては損をするケースもあるため、事前にしっかりと確認することが大切です。
この記事では、以下の内容をわかりやすく解説します。
- 扶養を外れて働く5つのメリット
- 年収の壁と損益分岐点の目安
- 扶養を外れる際の注意点と手続きの流れ
記事を読むことで、扶養を外れるべきかどうかを判断するための知識が身につきますよ。
目次
扶養を外れて働くメリットとは?まず知っておきたい基本
扶養を外れることで得られるメリットを正しく理解するために、まずは「扶養内」と「扶養外」の違いと、何がどう変わるのかを整理しておきましょう。
「扶養内」と「扶養外」の違いをわかりやすく解説
扶養とは、配偶者など家族の収入に依存して生活している状態のことです。扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
| 税法上の扶養 | 社会保険上の扶養 | |
| 対象となる年収 | 年収150万円以下(配偶者特別控除の対象は201万円以下) | 年収130万円未満(大企業勤務は106万円未満) |
| 扶養内のメリット | 配偶者の税金が軽減される | 自分で健康保険料・年金保険料を払わなくてよい |
| 扶養を外れると | 配偶者控除・配偶者特別控除がなくなる | 自分で社会保険料を負担する必要がある |
税法上の扶養と社会保険上の扶養は、それぞれ基準となる年収が異なります。どちらの扶養を外れるのかによって、家計への影響が大きく変わるため、まず2種類の違いを理解しておくことが重要です。
扶養を外れると何が変わるのか?税金・社会保険の観点から整理
扶養を外れると、税金と社会保険の両面で変化が生じます。具体的には以下のような変化があります。
- 自分で健康保険料と年金保険料(社会保険料)を支払う義務が生じる
- 配偶者の税金負担が増える可能性がある
- 勤務先の厚生年金・健康保険に加入できるようになる
負担が増える一方で、受けられる保障の範囲も広がります。扶養を外れることは「負担が増えるだけ」ではなく、将来の年金額の増加や、手厚い医療保障の取得につながる重要な転換点です。
扶養を外れて働く5つのメリット
扶養を外れることで生じるメリットは、収入面だけにとどまりません。将来の保障やキャリアにまで及ぶ5つのメリットを、ひとつずつ確認しましょう。
メリット①手取り収入が増える可能性がある
扶養を外れてフルタイムや長時間勤務に切り替えることで、労働時間が増え、給与総額が上がります。社会保険料の自己負担は増えるものの、十分な収入があれば手取りが増える可能性は十分にあります。
たとえば、年収130万円の壁を超えて年収200万円以上を目指して働いた場合、社会保険料を引いても手取りが大幅に増えるケースがあります。社会保険料の負担だけを気にするのではなく、収入全体のバランスを確認することが大切です。
ただし、年収によっては手取りが逆に減るゾーン(いわゆる「働き損」の状態)も存在します。詳しくは後述の「年収の壁」の章で解説します。
メリット②厚生年金に加入でき、将来の年金額が増える
扶養内で働いている間は、配偶者の扶養に入った「第3号被保険者」として国民年金のみが保障されます。一方、扶養を外れて会社の厚生年金に加入すると、国民年金に上乗せして厚生年金も受け取れるようになります。
厚生年金は給与額に応じて保険料が決まり、受け取れる年金額も増えます。長期間にわたって厚生年金に加入するほど、老後の年金受給額が増える仕組みになっているため、将来の生活設計において大きなメリットといえます。
メリット③健康保険の保障が手厚くなる(傷病手当金・出産手当金など)
扶養を外れて自分で健康保険に加入することで、受けられる保障の幅が広がります。扶養内の状態では受け取れない以下の給付が対象になります。
- 傷病手当金:病気やけがで仕事を休んだ際に受け取れる給付金
- 出産手当金:出産のために仕事を休んだ際に受け取れる給付金
傷病手当金は、休業1日あたり「標準報酬日額の3分の2」が最長1年6ヶ月支給されます。万が一、病気やけがで働けなくなった場合でも収入を確保できるため、自分自身を守るセーフティネットとして非常に重要な保障です。
メリット④育児休業給付金など各種給付を受けやすくなる
育児休業給付金(育休給付金)とは、育児休業を取得した際に雇用保険から支給される給付金のことです。扶養内のパート勤務などでは、雇用保険に加入していないケースが多く、育休給付金を受け取れないことがあります。
扶養を外れてフルタイムや週20時間以上の勤務になると雇用保険に加入でき、育休取得時に給付金を受け取れます。子育てと仕事を両立したいと考えているなら、育休給付金を受け取れる環境を整えることが、将来の生活安定につながります。
メリット⑤キャリアアップや正社員登用のチャンスが広がる
扶養内で働く場合、年収の上限を意識して勤務時間を抑えるため、重要な業務を任せてもらいにくいケースがあります。扶養を外れてフルタイム勤務に移行することで、責任ある仕事や昇給の機会が広がります。
トラックドライバーの仕事においても、正社員になることで長距離ルートや高収入の案件を担当できるようになるなど、収入とやりがいの両方が向上するケースがあります。扶養を外れることは、収入だけでなくキャリアの可能性を広げる第一歩にもなります。
扶養外れて働く前に確認!年収の壁と損益分岐点
扶養を外れることのメリットを活かすためには、年収の壁と損益分岐点を事前に把握しておくことが欠かせません。年収のどのラインで何が変わるのかを確認しましょう。
106万円・130万円・150万円の壁とは何か
年収の壁とは、収入がある金額を超えると税金や社会保険料の負担が変わる境界線のことです。代表的な壁は以下の3つです。
- 106万円の壁:従業員101人以上の企業で週20時間以上働く場合、社会保険への加入義務が生じる
- 130万円の壁:勤務先の規模に関係なく、年収が130万円以上になると配偶者の社会保険上の扶養から外れる
- 150万円の壁:年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の額が段階的に減少し始める
どの壁を意識すべきかは、勤務先の企業規模や配偶者の収入によって異なるため、自分の状況に当てはめて確認することが重要です。
年収別シミュレーション:扶養内と扶養外で手取りはどう変わる?
年収ごとの手取り額の目安を表で確認しましょう。以下はモデルケース(配偶者の年収500万円)として試算した概算です。
| 年収 | 社会保険料の負担 | 手取りの目安 | 状況 |
| 103万円 | なし | 約103万円 | 扶養内・所得税なし |
| 130万円 | なし(扶養内の上限付近) | 約130万円 | 扶養内ギリギリ |
| 150万円 | 約20万円 | 約130万円前後 | 扶養外・手取りが減るゾーン |
| 200万円以上 | 約27〜30万円 | 約165万円以上 | 扶養外・手取りが増えてくる |
上記はあくまで目安であり、正確な金額は各種控除や勤務先の給与体系によって異なります。手取り額だけで判断するのではなく、社会保険の保障や将来の年金額も含めてトータルで考えることが大切です。
世帯全体で見たときに損をしないための年収ラインの目安
扶養を外れることによる影響は、自分の収入だけでなく世帯全体の収入にも及びます。配偶者の収入から配偶者控除がなくなったり、家族手当が支給されなくなったりすることで、世帯全体の手取りが減るケースがあります。
一般的に、世帯全体で損をしないためには年収160〜180万円以上を目指すことが目安とされています。扶養を外れる前に、自分の年収だけでなく配偶者の税負担の変化や会社の手当の有無も含めて、世帯全体のシミュレーションを行うことが欠かせません。
扶養を外れることで生じるデメリット・注意点
扶養を外れることにはメリットがある一方で、事前に把握しておくべき注意点もあります。後悔しないよう、デメリットもあわせて確認しておきましょう。
社会保険料の自己負担が発生する
扶養を外れると、健康保険料と年金保険料を自分で支払う必要があります。会社員の場合は労使折半(ろうしせっぱん)といって、保険料の半分を会社が負担してくれますが、残りの半分は毎月の給与から天引きされます。
社会保険料の目安は年収の約14〜15%程度です。たとえば年収150万円の場合、年間で約20万円前後の負担が生じます。社会保険料の負担は決して小さくないため、働く時間を増やした際の収入増加が保険料の負担を上回るかどうかを事前に確認しましょう。
配偶者控除・配偶者特別控除がなくなる影響
配偶者控除とは、配偶者の年収が一定以下の場合に、納税者(主に夫)の課税対象となる所得が減額される制度です。扶養を外れることで、配偶者の税負担が増える可能性があります。
配偶者控除の控除額は最大38万円で、これがなくなることで配偶者の所得税・住民税が増加します。配偶者の税負担増加分も世帯全体のコストとして考えたうえで、扶養を外れるかどうかを判断することが大切です。
配偶者の会社の「家族手当」が支給されなくなるケースがある
家族手当とは、配偶者や子どもを養っている従業員に対して会社が支給する手当のことです。支給の条件として「配偶者が扶養内であること」を定めている会社も多く、扶養を外れることで手当が支給されなくなる場合があります。
家族手当の金額は月5,000〜2万円程度が一般的です。年間にすると6万〜24万円の差が生じるため、見落としがちですが影響は大きい項目です。扶養を外れる前に、配偶者の会社の就業規則を確認し、家族手当の支給条件を必ずチェックしましょう。
働き方別|扶養外れて働くメリットの違い
扶養を外れることのメリットは、働き方や雇用形態によって異なります。自分の状況に合ったパターンで確認しましょう。
パート・アルバイトの場合
パートやアルバイトで扶養を外れる場合、まず社会保険への加入条件を満たすかどうかが重要です。週20時間以上かつ年収106万円以上(従業員51人以上の企業)であれば、社会保険に加入できます。
社会保険に加入することで、傷病手当金や厚生年金の恩恵を受けられるようになります。パート・アルバイトであっても、社会保険に加入することで将来の年金や医療保障が充実するため、長期的な視点で働き方を検討することをおすすめします。
正社員・フルタイムの場合
正社員やフルタイム勤務の場合は、入社時点から社会保険に加入するのが一般的です。扶養を外れることで生じるデメリットよりも、メリットの恩恵を最大限に受けやすい働き方といえます。
育児休業給付金や傷病手当金なども対象になるため、ライフイベントに備えた保障が整います。正社員として働く場合は、扶養を外れることによるトータルのメリットが大きいため、積極的に検討する価値があります。
トラックドライバーなど運送業で働く場合のポイント
トラックドライバーとして働く場合、正社員での雇用が多く、社会保険への加入が前提となるケースがほとんどです。運送業は体力を使う仕事であるため、けがや病気のリスクも考慮したうえで保障の充実度を確認することが大切です。
傷病手当金や労災保険(業務中のけがに適用される保険)の内容をしっかり把握しておくことで、万が一の際にも安心して働けます。トラックドライバーとして長く働くためには、社会保険の内容を理解し、自分の身を守る保障を整えることが重要です。
扶養を外れるタイミングと手続きの流れ
扶養を外れる決断をしたら、適切なタイミングで正確に手続きを行う必要があります。手続きを怠ると、保険料の未払いや給付の遅れが生じることがあるため注意が必要です。
扶養を外れるベストなタイミングはいつ?
扶養を外れるタイミングとして最も多いのは、以下のような場面です。
- 転職や就職でフルタイム勤務になるとき
- パートの勤務時間を増やして年収の壁を超えそうなとき
- 育休復帰後に勤務形態が変わるとき
年の途中で扶養を外れると、その年の確定申告や年末調整に影響が出ることがあります。扶養を外れるタイミングは、できれば年度の切り替わり(1月)に合わせると手続きがシンプルになるためおすすめです。
会社・役所への届け出手続きと必要書類
扶養を外れる際の手続きは、主に配偶者の勤務先を通じて行います。一般的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 配偶者の会社に「被扶養者異動届」を提出する
- 健康保険証を返却する
- 新たな勤務先で健康保険・厚生年金への加入手続きを行う
- 必要に応じて市区町村の窓口で国民健康保険・国民年金の手続きをする
手続きに必要な書類は勤務先によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。手続きを速やかに行わないと、保険が適用されない期間が生じるリスクがあるため、扶養を外れると決めたらすぐに動き始めることが大切です。
扶養外れて働くことに関するよくある質問
扶養を外れて働くことについて、よくある疑問をまとめました。気になる質問があればぜひ確認してください。
扶養を外れると夫の税金はどのくらい上がる?
配偶者控除(38万円)がなくなることで、夫の所得税と住民税が増加します。所得税率が20%の場合、年間で最大約7万6,000円の増税となります。住民税も合わせると、年間で10万円前後の負担増になるケースがあります。ただし、妻の収入が増えることで世帯全体の収入が増加すれば、税負担の増加を十分に補えます。
子育て中でも扶養を外れて働くメリットはある?
子育て中であっても、扶養を外れることで育児休業給付金や傷病手当金を受け取れるようになるため、メリットは十分にあります。2人目・3人目の出産を考えているなら、社会保険に加入しておくことで毎回の育休給付金を受け取れます。保育所の利用料は世帯収入によって変わるため、収入増加との兼ね合いも確認しておきましょう。
一度扶養を外れたら、また扶養に戻ることはできる?
扶養に戻ることは可能です。たとえば、育児や介護のために一時的に勤務時間を減らして年収が扶養の基準を下回った場合、再び扶養に入る手続きができます。ただし、扶養に戻るためには配偶者の勤務先に届け出が必要です。収入の変動が見込まれる場合は、こまめに状況を確認し、必要に応じて手続きを行いましょう。
まとめ|扶養を外れて働くメリットを最大限に活かすために
この記事では、扶養を外れて働くメリットと注意点について解説しました。
扶養を外れることで得られる主なメリットは以下の5つです。
- 手取り収入が増える可能性がある
- 厚生年金に加入でき、将来の年金額が増える
- 健康保険の保障が手厚くなる
- 育児休業給付金など各種給付を受けやすくなる
- キャリアアップや正社員登用のチャンスが広がる
一方で、社会保険料の自己負担や家族手当がなくなるリスクもあります。扶養を外れるかどうかは、手取り額だけでなく世帯全体の収支や将来の保障も含めてトータルで判断することが重要です。
扶養を外れることをためらっている方は、まず年収のシミュレーションと配偶者の会社の手当の確認から始めてみましょう。正しい知識をもとに判断することで、自分にとって最適な働き方を選べるようになります。


