
冷凍車の仕事は、本当にきついのでしょうか。
求人サイトで冷凍車ドライバーの募集を見つけたとします。ところが「手積みがあるらしい」「庫内が寒くて体がもたない」といった評判が目に入ります。気になって応募をためらってしまう方は、けっして少なくありません。実際に働いている人の声を調べるほど、よい意見とわるい意見の両方が出てきて、判断がつかなくなってしまいます。
冷凍車の仕事のきつさは、車両の装備と配送先によって大きく変わります。同じ「冷凍車ドライバー」という求人でも、職場によって中身は別物です。パワーゲートとカゴ台車がそろった職場と、すべて手作業で積み下ろしをする職場。体への負担はまったく違ってきます。つまり求人の選び方さえ間違えなければ、体力に自信がない方でも無理なく続けられる仕事です。
この記事では、次のことがわかります。
- 冷凍車ドライバーの具体的な仕事内容と1日の流れ
- 軽・2t・4t・大型それぞれの働き方のちがい
- 庫内の温度帯と、温度管理でやるべきこと
- 「きつい」と言われる4つの理由と、その避け方
- 冷凍車ならではの防寒対策と、靴選びのポイント
- 給料や年収の目安と、必要な免許・資格
- 軽貨物・業務委託で働く場合の収入と経費の実態
- 失敗しない求人の見分け方と、面接で聞くべき質問
読み終えるころには、自分に合った冷凍車の仕事がどんな職場なのか、はっきりイメージできるようになります。
目次
冷凍車の仕事内容と1日の流れ
冷凍車ドライバーは、低温を保ったまま荷物をとどける仕事です。運ぶものは冷凍食品やアイスクリーム、精肉、鮮魚、乳製品などで、いずれも温度が上がると品質が落ちてしまう商品ばかりです。荷物を「時間どおり」に「決められた温度のまま」とどけることが、冷凍車ドライバーに求められる役割になります。一般的な配送との違いは、運転技術に加えて温度への気づかいが必要になる点です。まずは車両の種類と、1日のながれから見ていきます。
冷凍車と冷蔵車・保冷車の違い
よく似た言葉に「冷蔵車」と「保冷車」がありますが、3つは仕組みがまったく異なります。冷やす装置がついているかどうかが、いちばん大きな分かれ目です。
| 種類 | 冷却装置 | おもな温度帯 | 運ぶ荷物の例 |
|---|---|---|---|
| 冷凍車 | あり(冷凍機を搭載) | マイナス18度以下が目安 | 冷凍食品、アイスクリーム、冷凍魚 |
| 冷蔵車 | あり(冷凍機を搭載) | 0度前後から10度前後 | 乳製品、生鮮野菜、惣菜 |
| 保冷車 | なし(断熱材のみ) | 外気より温度上昇をおさえる程度 | 常温に近い食品、飲料 |
保冷車は荷台を断熱材でかこっただけの車で、冷やす力はもっていません。あくまで温度が上がるスピードをゆるやかにする車両です。一方冷凍車と冷蔵車は冷凍機を積んでおり、設定した温度まで庫内を下げられます。実務では冷凍車と冷蔵車をまとめて「冷凍車」と呼ぶ職場も多く、求人票を見るときは温度帯の記載までチェックしてください。
出発前の車両点検と予冷
冷凍車の1日は、庫内をあらかじめ冷やしておく「予冷」から始まります。予冷とは、荷物を積む前に庫内を設定温度まで下げておく作業のことです。予冷をしないまま常温の庫内へ荷物を積むと、積み込んだ瞬間に商品の温度が上がり、品質事故につながります。
出発前におこなう作業は、おおむね次のとおりです。
- 冷凍機の運転をはじめ、庫内を設定温度まで下げる
- 庫内の霜や水滴、前日の荷物の残りがないか確認する
- 扉のパッキンが傷んでいないか目で見て確かめる
- 温度計の表示が正常に動いているか確認する
- 燃料や冷凍機用のオイル残量を確かめる
扉のパッキンが劣化していると、走行中に冷気がもれて庫内温度が保てなくなります。数分で終わる点検ですが、品質事故を防ぐうえで欠かせない工程です。庫内が設定温度に達するまでには、車両の大きさにもよりますが30分から1時間ほどかかるとされています。そのため冷凍車ドライバーの出社時刻は、一般的な配送ドライバーより早めに設定されている職場が多くなります。
積み込みから配送完了までの流れ
予冷が終わったら、いよいよ荷物の積み込みに入ります。冷凍倉庫や物流センターへ車をつけ、指示された荷物を庫内へ入れていきます。積み込みの方法は職場によって差が大きく、フォークリフトでパレットごと入れる現場もあれば、段ボールをひとつずつ手で運ぶ現場もあります。
積み込みから配送完了までの標準的なながれは次のようになります。
- 倉庫やセンターで荷物を積み込み、数量と伝票を照合する
- 庫内温度が保たれているか確認してから出発する
- 配送先へ着き、扉を開けている時間をできるだけ短くして荷降ろしする
- 納品書へサインをもらい、次の配送先へ向かう
- 全件の配送を終えたら帰庫し、庫内の清掃と日報を出す
荷降ろしのときに意識したいのが、扉を開けている時間です。扉を開けっぱなしにすると外気が入りこみ、庫内の温度がすぐに上がってしまいます。手ぎわよく荷物を出し、扉をこまめに閉める習慣が、冷凍車ドライバーの腕の見せどころになります。
配送先による仕事内容の違い
同じ冷凍車の仕事でも、どこへ荷物をとどけるかで内容は大きく違ってきます。求人を選ぶときは「何を運ぶか」より「どこへ運ぶか」を確認したほうが、実際の働き方をつかみやすくなります。
| 配送先 | 荷降ろしの特徴 | 1日の配送件数の目安 |
|---|---|---|
| スーパー・量販店 | カゴ台車を使うことが多く、負担は軽め | 数件から十数件 |
| コンビニ | 件数は多いが、1件あたりの荷物は少なめ | 十数件から数十件 |
| 物流センター間の輸送 | フォークリフト中心で、手作業はほとんどない | 1件から数件 |
| 飲食店・個人店 | 店舗前の駐車や手運びが発生しやすい | 十数件前後 |
| 市場・産地 | 手積みが残る現場もあり、早朝勤務が中心 | 数件 |
センター間の輸送は運転している時間が長いかわりに、荷物にふれる作業がほとんどありません。体力面の不安が大きい方に向いた配送パターンです。反対に飲食店への配送は、駐車スペースが狭かったり、店内まで荷物を運んだりする場面が出てきます。体力への負担を減らしたいなら、センター間輸送やパレット納品の求人を選ぶのが近道です。
深夜・早朝の勤務が多い理由
冷凍車の仕事は、深夜から早朝にかけての勤務が多くなります。理由は大きく2つあります。
1つめは、店舗の開店前に商品をならべる必要があるからです。スーパーやコンビニは朝の開店までに商品をそろえておかなければならず、納品時間はどうしても深夜から早朝に集中します。2つめは、外気温が低い時間帯のほうが庫内の温度を保ちやすいという事情です。真夏の日中に扉を開け閉めすると庫内温度が上がりやすく、品質を守るうえで不利になります。
深夜勤務にはメリットも存在します。道路がすいているため渋滞のストレスが少なく、運転そのものは日中よりも楽になります。深夜手当がつくぶん、給料が高くなりやすい点も見のがせません。生活リズムを夜型に切りかえられる方にとっては、深夜勤務はむしろ有利な条件になります。反対に家族の生活時間に合わせたい方は、日中配送の求人にしぼって探すことをおすすめします。
冷凍車の車両サイズ別(軽・2t・4t・大型)の仕事の違い
冷凍車には軽自動車サイズから大型トラックまで、はばひろい種類があります。車両サイズによって必要な免許も、運ぶ荷物も、働き方もまったく変わってきます。自分がどのサイズを目指すのかを決めることが、求人選びの出発点になります。サイズごとの特徴を順に見ていきます。
軽・1t冷凍車の仕事
軽冷凍車は、軽自動車をベースに冷凍機を取りつけた車両です。普通免許があれば運転できるため、未経験からもっとも入りやすいサイズになります。
運ぶ荷物は、飲食店へとどける食材や、個人宅への冷凍宅配などが中心です。1件あたりの荷物が小さく、重い段ボールを何十個も運ぶような場面はそう多くありません。車体が小さいぶん、狭い路地や住宅街へも入っていけます。
気をつけたいのは、軽冷凍車の求人には業務委託の案件がまじっている点です。業務委託は会社に雇われる働き方ではなく、個人事業主として仕事を請けおう形になります。収入の考え方がまったく異なるため、応募前に雇用形態の確認が欠かせません。「まずは小さい車から慣れたい」という方には、軽冷凍車の正社員またはパート求人が有力な選択肢になります。
2t・3t冷凍車の仕事
2tから3tクラスは、冷凍車のなかでもっとも求人数が多いサイズです。スーパーやコンビニ、飲食店への配送で幅ひろく使われています。
2017年3月12日より前に普通免許を取得した方であれば、車両によっては普通免許のまま運転できるケースがあります。それ以降に取得した方は、準中型免許が必要になるケースがほとんどです。免許の区分は取得した時期によって変わるため、応募前に自分の免許証をチェックしておくと安心です。
荷物はカゴ台車での納品が中心となり、パワーゲートを備えた車両も多く出まわっています。パワーゲートとは、荷台の後部についた昇降装置のことで、重い荷物を持ちあげずに地面と荷台のあいだを動かせます。体力面の不安がある方は、2tクラスでパワーゲートつきの求人を選ぶと負担を大きく減らせます。
4t冷凍車の仕事
4tクラスになると、中型免許が必要です。運ぶ量が増えるぶん、給料の水準も2tクラスより高めに設定されています。
配送先は大型のスーパーや物流センターが中心で、パレット納品やフォークリフトを使った積み下ろしが多くなります。1日の配送件数は2tクラスより少なく、1件あたりの荷量が大きいのが特徴です。運転している時間の割合が増えるため、車の運転そのものが好きな方に向いています。
一方で車体が大きくなるぶん、駐車や後退の難しさは上がります。とくに市街地の納品先では、狭い場所への車庫入れが必要になる場面も出てきます。4tクラスへ進むなら、2tクラスで数年の経験を積んでから移るのが、無理のないステップアップの道すじです。
大型(10t)冷凍車の仕事
大型冷凍車は、大型免許が必要な最上位のクラスです。物流センター間の長距離輸送や、産地から都市部への大量輸送を担当します。
給料は冷凍車のなかでもっとも高い水準になりますが、拘束時間は長くなりがちです。長距離便では車中泊をともなう運行もあり、生活のリズムが不規則になります。荷降ろしはフォークリフトやパレット単位が基本で、手作業はわりと少なめです。ただし求人によっては手積み手降ろしが残っている場合もあり、前もっての確認が欠かせません。
大型免許は21歳以上かつ普通免許などの取得から3年以上という受験資格があります。未経験からいきなり大型を目指すより、中型で経験を積みながら免許取得支援のある会社で働くほうが、費用も時間もおさえられます。
冷凍車の庫内温度と温度管理の実際
冷凍車ドライバーの仕事で、運転と同じくらい大切なのが温度管理です。庫内の温度を1度でも外すと、商品がすべて廃棄になるおそれがあります。とはいえ、やることは決まった手順の繰りかえしで、慣れてしまえば難しい作業ではありません。温度帯の区分と、現場で気をつけるポイントを整理します。
冷凍・チルド・中温の温度帯の違い
冷凍車が扱う温度帯は、大きく3つに分かれます。運ぶ商品によって設定温度が変わるため、それぞれの区分を覚えておきましょう。
| 温度帯 | 設定温度の目安 | おもな商品 |
|---|---|---|
| 冷凍(フローズン) | マイナス18度以下 | 冷凍食品、アイスクリーム、冷凍魚 |
| チルド | 0度から5度前後 | 精肉、鮮魚、乳製品、惣菜 |
| 中温(定温) | 10度から20度前後 | 青果、菓子、チョコレート |
アイスクリームのように、マイナス25度以下という、より低い温度を求められる商品もあります。1台の車で複数の温度帯を運ぶときは、庫内を仕切り板で区切る「二層式」の車両を使います。求人票に「二層式」「2エバ」と書かれていたら、複数の温度帯を扱う配送だと見分けられます。覚えることは増えますが、そのぶんスキルとして評価されやすい仕事です。
庫内は実際に何度になるのか
冷凍の配送であれば、庫内はマイナス18度から25度前後になります。家庭用冷凍庫とほぼ同じか、それより低い温度です。真夏に外気が35度あれば、庫内との温度差は50度をこえる計算になります。
ただし、ドライバーが庫内に入りっぱなしになるわけではありません。荷降ろしのときに数分間だけ出入りするのが基本で、長時間とどまる作業はほとんど出てきません。それでも夏場は、冷えた庫内と暑い屋外を何度も行き来することになります。
体にこたえるのは低温そのものより、出入りをくり返すことで生じる温度差です。あとの章で詳しく説明しますが、防寒着を着たり脱いだりできる重ね着の工夫で、負担はかなり軽くできます。冷凍倉庫内で1日中作業する仕事とは異なり、冷凍車ドライバーが寒さにさらされる時間は限られています。
温度管理で気をつけること
温度管理は、次の3つを守るだけで大半のトラブルを防げます。
- 荷物を積む前に、かならず予冷を完了させておく
- 荷降ろしのときは扉を開けている時間を短くする
- 走行中も定期的に温度計の表示を確認する
3つのなかでも、扉の開閉時間が庫内温度にあたえる影響はとくに大きくなります。夏場に扉を数分開けたままにすると、庫内温度が一気に上がってしまいます。荷物を降ろす順番をあらかじめ考えて積んでおけば、扉を開けている時間を短くできます。
近年は温度を自動で記録する装置を積んだ車両も増えてきました。記録が残ることで、納品先へ品質を証明しやすくなります。温度管理は難しそうに見えますが、手順が決まっているぶん、未経験からでも数週間あれば身につけられる技術です。
冷凍車のエンジンとスタンバイ機能
冷凍車で働くうえで、多くの方が疑問に思うのが「配送中や休憩中にエンジンを切っていいのか」という点です。冷凍機を動かす電力をどこから取るかによって、答えは変わります。燃料代や騒音にも関わる大切な知識なので、仕組みから順に説明します。
配送中にエンジンを切ることはできるのか
冷凍機の駆動方式には、大きく分けて2つの種類があります。方式しだいで、エンジンを切れるかどうかが決まってきます。
| 駆動方式 | 仕組み | エンジン停止時 |
|---|---|---|
| 直結式(メインエンジン式) | トラックのエンジンから動力を取る | 冷凍機も止まる |
| サブエンジン式 | 冷凍機専用のエンジンを別に積む | 冷凍機だけ運転を続けられる |
直結式の車両では、エンジンを切ると冷凍機も止まります。そのため休憩中もアイドリングを続けざるをえない場面が出てきます。サブエンジン式なら、トラックのエンジンを止めても冷凍機だけを動かしつづけられます。
長時間の待機や休憩が多い配送では、サブエンジン式の車両のほうが快適に働けます。求人票で車両の仕様まで書かれていることはそう多くありませんが、面接の場でチェックしておくと入社後のギャップを減らせます。
スタンバイ機能とは
スタンバイ機能とは、停車中に外部の電源から冷凍機を動かす仕組みのことです。車両に電源プラグを差しこみ、100ボルトまたは200ボルトの電気で冷凍機を運転します。
スタンバイ機能を使う場面は、おもに次のようなときです。
- 倉庫や営業所で待機しているあいだ、庫内を冷やしておく
- 翌朝の配送に備えて、前夜のうちに予冷を済ませておく
- 荷物を積んだまま一時的に駐車する
スタンバイを使えば燃料を消費せずに庫内を冷やせるため、燃料代の節約になります。エンジン音が出ないので、住宅地に近い営業所でも近隣への配慮ができます。スタンバイ設備がある会社は、燃料コストと騒音の両方に気をつかっている職場だと見分けられます。設備の有無は、その会社の運行管理の丁寧さをはかる目安にもなります。
アイドリングによる燃費と騒音への配慮
冷凍車は庫内を冷やしつづける必要があるため、一般的なトラックよりも燃料を多く使います。冷凍機を動かすぶんだけ燃費が悪くなるのは避けられません。
とくに直結式の車両では、荷降ろしや待機のあいだもエンジンをかけたままになります。多くの自治体では、アイドリングストップを求める条例が定められています。ただし冷凍車のように貨物の品質を保つ車両は、対象から除かれているのが一般的です。とはいえ住宅地での長時間のアイドリングは、近隣とのトラブルになりかねません。
騒音についても配慮が必要です。冷凍機、とくにサブエンジン式は運転音が大きく、深夜の住宅街では音が響きます。駐車する場所を選ぶ、必要のないときは冷凍機を止めるといった心づかいが、冷凍車ドライバーには求められます。会社によっては駐車位置のルールが決まっているので、指示にしたがってはたらけば問題ありません。
冷凍車の仕事が「きつい」と言われる理由
冷凍車の仕事を調べると、「きつい」という声が必ず出てきます。ただし、きつさの原因は4つに整理でき、そのうち3つは求人の選び方で避けられます。何がどうきついのかを具体的に知っておけば、自分に合わない職場を事前に見分けられるようになります。原因をひとつずつ分解していきます。
手積み手降ろしがある場合の負担
冷凍車の仕事でもっとも体にこたえるのが、手積み手降ろしです。手積み手降ろしとは、荷物を機械に頼らず、人の手でひとつずつ積み下ろしする作業を指します。バラ積みバラ卸しと呼ばれることもあります。
実際に働いている方からは、1個あたり20キロから30キロほどの荷物を、1日に100個近くあつかったという声も上がっています。冷凍の荷物は水分をふくんでいて重く、箱の表面が結露で滑りやすいという事情もあります。事務職から転職した方が体力面で苦労したという話も、けっして珍しくありません。
一方で、手積みのない現場も数多く存在します。パワーゲートやカゴ台車、フォークリフトを使う職場であれば、重い荷物を持ちあげる場面はほとんどありません。「冷凍車=重労働」ではなく、「手積みのある冷凍車=重労働」だと理解することが、求人選びの分かれ目になります。
庫内と外気の寒暖差による体調への影響
2つめのきつさは、温度差です。真夏であれば、35度の屋外とマイナス20度の庫内を1日に何度も行き来することになります。
急激な温度差は自律神経に負担をかけ、だるさや頭痛の原因になるとされています。冬場は逆に、外も庫内も寒いという状況が続きます。手先が冷えると荷物をつかみにくくなり、作業効率も落ちてしまいます。
ただし温度差の負担は、装備で大きく軽減できます。着脱しやすい防寒着を用意し、庫内に入るときだけ羽織るようにすれば、汗冷えを防げます。寒暖差は避けられない条件ですが、服装の工夫で体への影響はかなり小さくできます。具体的な対策は次の章で詳しく紹介します。
時間厳守と温度管理のプレッシャー
3つめは、精神的な負担です。冷凍車が運ぶ荷物は、時間と温度の両方を守らなければなりません。
納品先には「何時から何時のあいだに」という時間の指定があります。遅れると店舗の品出しに影響が出るため、渋滞を見こした余裕のある運行が欠かせません。加えて庫内温度が規定を外れると、荷物が受けとってもらえない可能性があります。守るべきものが2つあるという点で、常温の配送よりも気をつかう仕事です。
とはいえ、プレッシャーは経験とともに小さくなっていきます。ルートを覚えれば所要時間が読めるようになり、温度管理も手順どおりに動けば問題は起きません。入社から数か月は緊張が続きますが、慣れてしまえば落ちついて働ける仕事です。
深夜・早朝勤務で生活リズムが乱れやすい
4つめは、勤務時間帯の問題です。冷凍車の配送は深夜から早朝に集中しやすく、生活リズムが一般的な会社員とずれてしまいます。
家族と食事の時間が合わない、日中に眠りにくいといった悩みは、深夜勤務で働く方から多く聞かれます。慣れるまでは睡眠の質が落ち、疲れが取れにくいと感じる方もいます。
ただし、冷凍車の仕事がすべて深夜勤務というわけではありません。日中のルート配送や、午前中だけの短時間勤務を用意している会社もあります。生活リズムを崩したくないなら、応募の段階で「日中配送のみ」の求人にしぼるという選択ができます。勤務時間帯は入社後に変えるのが難しい条件なので、最初の求人選びで妥協しないことが大切です。
冷凍車の仕事に欠かせない防寒対策と服装
冷凍車で働くうえで、装備選びは想像以上に重要です。正しい服装をそろえるだけで、寒さのつらさは半分以下になります。とくに靴の選択は、寒さ対策だけでなく安全にも直結します。現場で役に立つ装備を、優先度の高い順に紹介します。
滑らない安全靴の選び方
冷凍車の仕事でまっさきにそろえたいのが、靴です。庫内の床は結露が凍りついて滑りやすくなっており、一般的なスニーカーでは転倒の危険があります。
選ぶときの基準は次のとおりです。
- ソールに耐滑性能があり、氷や濡れた床でグリップするもの
- つま先に保護材が入っていて、荷物の落下から足を守れるもの
- 靴底に断熱性があり、冷たさが伝わりにくいもの
- 脱ぎ履きしやすく、長時間の運転をさまたげないもの
とくに耐滑性能は妥協できない条件です。冷凍庫向けの安全靴は各メーカーから出ており、防寒仕様の長靴タイプもそろっています。会社から支給されない場合でも、靴だけは自分で良いものを用意する価値があります。転倒によるけがは休職につながるため、初期投資として考えると決して高い出費ではありません。
防寒着と手袋の選び方
防寒着は、着こんだ1枚より、重ね着できる組みあわせが向いています。庫内では暖かく、屋外では脱げるようにしておくためです。
実際に使われている装備には、次のようなものがあります。
- 冷凍庫用の防寒ジャンパー(庫内に入るときだけ羽織る)
- 薄手で保温性の高いインナー(汗を吸って乾きやすい素材)
- 指先の動く防寒手袋(荷物をつかむ作業に対応できるもの)
- ネックウォーマーや耳あて(首元と耳の冷えを防ぐ)
手袋選びで見おとしがちなのが、指先の感覚です。厚すぎる手袋は暖かい反面、伝票を持ったり台車を操作したりする作業がしにくくなります。冷凍庫用の手袋なら、保温性を保ちながら指を動かせます。防寒着は会社が支給する職場も多いため、面接のときに支給品の内容をチェックしておくと準備がしやすくなります。
寒暖差から体調を守る工夫
装備をそろえたら、次は使い方です。寒暖差による体調不良は、着るタイミングを意識するだけでかなり防げます。
ポイントは、汗をかいたまま冷やさないことです。荷降ろしで体が温まった状態で庫内に入ると、汗が冷えて体温をうばわれます。速乾性のインナーを選び、休憩時に汗を拭くだけでも違いが出ます。
水分補給も忘れてはいけません。寒い環境では喉のかわきを感じにくくなりますが、体からは水分が失われています。温かい飲み物を車内に用意しておく方が多いのは、理にかなった習慣です。装備と習慣の両方を整えれば、寒さは「慣れる対象」ではなく「管理できる条件」に変わります。
冷凍車ドライバーの給料と年収の目安
冷凍車ドライバーの給料は、常温の配送よりやや高めに設定される傾向があります。温度管理という専門的な業務が加わるうえ、深夜勤務が多いことが理由です。ただし給料の額は、車両サイズと配送パターンによって大きく変わります。求人票の数字だけを比べても実態はつかめません。何によって金額が決まるのかを整理しておきます。
車両サイズ別の給料相場
給料は運転する車両が大きくなるほど高くなるのが基本です。求人情報で見られるおおよその水準は、次のようにまとめられます。
| 車両サイズ | 必要な免許 | 月収の目安 |
|---|---|---|
| 軽冷凍車 | 普通免許 | 20万円台前半から |
| 2t・3t | 準中型免許など | 25万円前後から |
| 4t | 中型免許 | 30万円前後から |
| 大型(10t) | 大型免許 | 35万円以上とされる求人が多い |
数字はあくまで求人情報でよく見かける水準であり、地域や会社の規模、勤務時間によって上下します。とくに深夜手当や無事故手当の有無で、手取り額は数万円変わってきます。求人票を見るときは総支給額ではなく、基本給と手当の内訳まで確認することが欠かせません。基本給が低く手当で額面を大きく見せている求人は、残業が減ると収入も落ちこみます。
給料が高くなりやすい配送パターン
同じ車両サイズでも、配送のしかたによって収入は変わります。給料が上がりやすいのは、次のような条件がそろった仕事です。
- 深夜から早朝の時間帯を担当する配送(深夜手当がつく)
- 長距離や中距離の輸送(走行距離に応じた手当がある場合が多い)
- 大型車両を運転する仕事(免許の希少性が評価される)
- 手積み手降ろしをともなう配送(作業手当が加算されることがある)
4つめは気をつけて読んでください。手積みのある仕事は給料が高くなりやすい反面、体への負担も大きくなります。知恵袋などでは「給料はよいが手積みで迷っている」という相談がくり返し投稿されています。収入と体力のどちらを優先するかを先に決めておくと、求人選びで迷わなくなります。
「給料が安い」と感じる場合の原因
入社後に「思ったより少ない」と感じるケースには、共通した原因があります。
もっとも多いのが、求人票の金額に残業代が含まれていた場合です。「月給30万円以上」と書かれていても、そのなかに固定残業代が含まれていれば、実際の基本給はもっと低くなります。固定残業代とは、一定時間ぶんの残業代をあらかじめ給料に組みこむ制度のことです。何時間ぶんが含まれているかは、求人票に明記する決まりになっています。
もうひとつの原因が、繁閑の差です。冷凍食品は夏場に出荷が増え、時期によって仕事量が変わります。忙しい月の収入を基準に生活を組みたてると、閑散期に足りなくなってしまいます。年収ベースで考え、賞与や昇給の実績まで確認しておけば、入社後のギャップを避けられます。
冷凍車の仕事に必要な免許と資格
冷凍車を運転するために、特別な免許は必要ありません。必要なのは車両の大きさに応じた運転免許だけで、冷凍車専用の資格は存在しません。ただし持っていると採用で有利になる資格はいくつかあります。免許の区分と、あわせて取っておきたい資格を確認しておきます。
車両サイズ別に必要な運転免許
運転できる車両の範囲は、免許を取得した時期によって変わります。自分の免許で何が運転できるのかを、まずチェックしてください。
| 免許の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 | 取得できる年齢 |
|---|---|---|---|
| 普通(2017年3月12日以降取得) | 3.5t未満 | 2t未満 | 18歳以上 |
| 準中型 | 7.5t未満 | 4.5t未満 | 18歳以上 |
| 中型 | 11t未満 | 6.5t未満 | 20歳以上(免許取得後2年以上) |
| 大型 | 11t以上 | 6.5t以上 | 21歳以上(免許取得後3年以上) |
2007年6月2日から2017年3月11日のあいだに普通免許を取得した方は、車両総重量5t未満まで運転できます。2007年6月1日以前に取得した方であれば、8t未満まで対象になります。免許を取った時期が古い方ほど、追加の取得なしで運転できる範囲が広くなります。免許証の「種類」欄を見れば、自分がどの区分にあたるか見分けられます。
あると有利な資格
冷凍車の仕事で評価されやすい資格には、次のようなものがあります。
- フォークリフト運転技能講習(積み下ろしを自分でおこなえる)
- テールゲートリフターの特別教育(パワーゲート操作に必要)
- 運行管理者(将来的に管理職を目指す場合に有効)
- けん引免許(トレーラーを扱う仕事に進める)
とくに押さえておきたいのがテールゲートリフターの特別教育です。労働安全衛生規則の改正により、2024年2月1日から、テールゲートリフターを使う作業には特別教育の修了が必要になりました。パワーゲートつきの車両は冷凍車で広く使われているため、実務では欠かせない資格になっています。フォークリフトと特別教育の2つがあれば、応募できる求人の幅は大きく広がります。
未経験から免許を取得する方法と費用補助
免許を持っていない状態からでも、冷凍車ドライバーを目指せます。多くの運送会社が、免許取得を支援する制度を用意しているためです。
支援の形はおもに3つあります。
- 免許取得費用の全額または一部を会社が負担する
- 費用を会社が立てかえ、一定期間はたらけば返済が免除される
- 教習所へ通う日を勤務扱いにして、給料を支払う
2つめの立てかえ型では、規定の期間より早く退職すると返済を求められるケースがあります。何年はたらけば免除になるのかを、入社前に書面で確認しておくことが大切です。国の教育訓練給付制度を使える教習所もあり、条件を満たせば費用の一部が支給されます。まずは普通免許で乗れる軽や2tクラスで入社し、はたらきながら上位免許を取るのが、費用をおさえる現実的な方法です。
軽貨物・業務委託で冷凍車の仕事をする場合
冷凍車の求人を探していると、「業務委託」「持ち込み歓迎」と書かれた案件を必ず目にします。業務委託は会社に雇われる働き方ではなく、個人事業主として仕事を請けおう形になります。収入の考え方も、守られる権利もまったく違います。応募する前に、仕組みを正しく理解しておきましょう。
軽冷凍車の持ち込みとリース
軽貨物の業務委託では、使う車両を自分で用意するのが基本です。用意のしかたには、買う・リース・会社からの貸与という3つの選択肢があります。
| 方法 | 初期費用 | 毎月の負担 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 購入 | 大きい | 維持費のみ | 長く続けるほど有利になる |
| リース | 小さい | リース料が発生 | 始めやすいが総額は高くなりやすい |
| 会社からの貸与 | ほぼなし | 使用料を引かれる場合がある | 条件は会社によって差が大きい |
軽冷凍車は冷凍機を搭載しているぶん、通常の軽バンより車両価格が高めです。リースを選ぶとき、毎月の支払いが収入から差し引かれる点を計算に入れておきましょう。「初期費用ゼロ」とうたう案件でも、リース料という形で毎月の負担が出ていないかチェックしてください。
業務委託の収入と差し引かれる経費の実態
業務委託でもっとも気をつけたいなのが、求人広告に書かれた金額と手もとに残る金額の差です。
「日給2万円保証」「月収60万円可能」といった表現は、経費を引く前の売上を指している場合がほとんどです。実際には、次のような費用が自己負担になります。
- ガソリン代(冷凍機を動かすぶん燃費が悪くなる)
- 車両のリース代または購入時のローン
- 任意保険料と自動車税
- 車検代とメンテナンス費用
- 委託元へ支払う手数料やロイヤリティ
- 国民健康保険料と国民年金保険料
会社員であれば会社が負担する社会保険料も、個人事業主はすべて自分で支払います。知恵袋には「月収40万円以上と説明されたが、実際は10万円程度しか残らなかった」という相談も投稿されています。業務委託の案件を見るときは、売上ではなく経費を引いたあとの手残りで判断してください。
業務委託を選ぶ前にかならずチェックしたいこと
業務委託にはトラブルの報告も少なくありません。契約する前に、次の項目をかならずチェックしてください。
- 初期費用として高額な金額を求められていないか
- 毎月差し引かれる費用の内訳がすべて明示されているか
- 休んだ場合に違約金や罰金が発生する契約になっていないか
- 最低保証があるとして、その条件は何か
- 契約書の控えを受けとれるか
入会金や研修費といった名目で、働く前に高額な支払いを求める業者には近づかないでください。休むと罰金が発生する契約も、実態として問題があります。安定した収入と社会保険を優先するなら、業務委託ではなく正社員やパートの求人を選ぶほうが安全です。業務委託は、経費と確定申告を自分で管理できる方に向いた働き方です。
失敗しない冷凍車求人の選び方
前の章まで見てきたとおり、冷凍車の仕事のきつさは職場によって大きく変わります。求人票と面接で確認すべき点を押さえておけば、自分に合わない職場を高い確率で避けられます。応募の前に使えるチェック方法を、具体的にまとめます。
パワーゲート・カゴ台車の有無を確認する
体への負担を左右する最大の要素が、荷役設備の有無です。求人票に次の書かれていれば、手作業の負担は小さいと見分けられます。
- パワーゲート付き(荷台の昇降装置がある)
- カゴ台車での納品(荷物を台車ごと動かせる)
- パレット納品(フォークリフトで積み下ろしする)
- フォークリフト作業あり(人力での運搬がない)
反対に「手積み手降ろしあり」「バラ積みバラ卸し」と書かれていれば、人力での作業が中心になります。記載がまったくないときは、面接で必ず質問してください。荷役設備の有無は、入社後の体力的な負担をもっとも正確に予測できる情報です。
「手積みなし」の表記を鵜呑みにしない
求人票に「手積みなし」と書かれていても、実際には手作業が発生するケースがあります。知恵袋には「手積み手降ろしはありませんという求人広告を見たが本当か」という質問が実際に投稿されています。
ずれが生じる理由は、言葉の定義があいまいだからです。会社側は「フォークリフトで積むから手積みではない」と考えていても、実際は荷崩れの直しや積みなおしで荷物にふれる場面が出てきます。配送先によって条件が変わり、一部の納品先だけ手作業が残っているというケースもあります。
確認するときは、抽象的に聞かずに具体的な数字でたずねるのが有効です。「1日に何個くらい手で運びますか」「手作業が発生する納品先は全体の何割ですか」と聞けば、実態に近い答えが返ってきます。数字で聞き返せない求人は、その時点で候補から外して構いません。
求人票でかならずチェックしたい5つの項目
応募前にチェックしておきたい項目を、優先度の高い順に5つあげます。
- 荷役設備の有無(パワーゲート、カゴ台車、フォークリフト)
- 勤務時間帯(深夜中心か、日中中心か)
- 給料の内訳(基本給と固定残業代の区分)
- 雇用形態(正社員・パート・業務委託のいずれか)
- 配送先の種類(センター間か、店舗配送か)
5つのうち、勤務時間帯と雇用形態は入社後に変更するのがとくに難しい条件です。給料の見た目に引かれて条件を妥協すると、あとから調整がききません。優先順位を自分のなかで決めてから求人を見比べると、迷わなくなります。
面接や職場見学で聞いておきたい質問
面接は会社が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が会社を見きわめる場でもあります。次の質問をしておくと、実態がつかめます。
- 1日の配送件数と、1件あたりの荷物の量はどれくらいですか
- 使う車両はサブエンジン式ですか、直結式ですか
- 防寒着や安全靴の支給はありますか
- 入社後の研修や同乗期間はどれくらいありますか
- 女性のドライバーは働いていますか
可能であれば職場見学を申しこみ、実際の車両と倉庫を見せてもらってください。パワーゲートの有無や庫内の様子は、目で見れば一目でわかります。見学を断る会社は、見せたくない事情があるおそれを考えたほうが安全です。
女性でも冷凍車の仕事はできる?
冷凍車の仕事に興味はあっても、体力面や職場の環境が気になって踏みだせない女性は少なくありません。結論をいえば、荷役設備のそろった職場を選べば、女性でも無理なく続けられる仕事です。実際に女性のドライバーは年々増えており、受け入れ体制を整える会社も広がっています。不安になりやすい点を、ひとつずつひとつずつなくしていきます。
体力面の不安を減らす働き方の選び方
体力への不安は、車両サイズと配送先の組みあわせでなくせます。
もっとも負担が小さいのは、パレット納品を中心とした物流センター間の輸送です。フォークリフトで積み下ろしをするため、荷物を持ちあげる作業がほとんど出てきません。運転している時間が長いぶん、体力よりも集中力が求められる仕事になります。次に負担が小さいのが、カゴ台車を使うスーパーへの配送です。荷物は台車ごと動かすため、力よりも押し引きのコツが物をいいます。
反対に避けたいのが、手積み手降ろしのある配送です。20キロ以上の荷物を1日100個近く扱う現場は、性別を問わず負担が大きくなります。「重い荷物を持てるか」ではなく「重い荷物を持たなくていい職場か」で選ぶことが、長く続けるための条件になります。
トイレや休憩など職場環境のチェックポイント
女性ドライバーが実際に困りやすいのが、トイレと休憩の環境です。配送ルートによっては、立ちよれる場所が限られてしまいます。
面接や職場見学のときに、次の点をチェックしておくと安心できます。
- 営業所に女性用の更衣室とトイレがあるか
- 配送ルート上に休憩できる場所があるか
- トイレ休憩を自分の判断で取れる運行スケジュールか
- 女性用の作業着やサイズの合う安全靴が支給されるか
作業着や安全靴のサイズは見落とされがちな点です。男性用しか用意がない職場では、足に合わない靴で滑りやすい床を歩くことになります。女性ドライバーがすでに在籍している会社は、設備が整っている見込みが高くなります。在籍状況を聞くだけでも、その会社の受け入れ姿勢が見えてきます。
未経験・ブランクから始めた女性の働き方
事務職や販売職から転職して、冷凍車ドライバーになった女性は実際にいます。子育てが一段落したタイミングで、ブランクを経て復帰する方も増えています。
未経験から始めるとき、いきなり大型を目指す必要はありません。普通免許で乗れる軽冷凍車や、準中型で乗れる2tクラスから始めれば、車両感覚を無理なく身につけられます。はたらきながら会社の支援制度を使って上位免許を取り、少しずつステップアップしていく道すじが現実的です。
勤務時間についても、選択肢は広がっています。午前中だけの短時間勤務や、日中のルート配送にしぼった求人であれば、子どもの送りむかえと両立できます。未経験でも、車両サイズと勤務時間の2つを自分の生活に合わせて選べば、無理のないスタートが切れます。
トラックドライバーという選択肢
冷凍車の仕事を調べている方のなかには、そもそもトラックドライバーという職種が自分に合うのか迷っている方もいるはずです。トラックドライバーは、学歴や職歴に左右されにくく、はたらいた経験がそのまま評価につながる仕事です。冷凍車にかぎらず、職種全体の魅力を整理しておきます。
収入と雇用の安定性
物流は生活を支える仕事であり、景気の影響を受けにくい分野です。食品を運ぶ冷凍車であれば、需要が急に消えることは考えにくくなります。
加えて、ドライバーの人手不足は業界全体の課題になっています。2024年4月から時間外労働の上限規制が運送業にも適用され、一人あたりの走れる時間が制限されました。同じ荷物を運ぶために、より多くのドライバーが必要になっています。採用意欲の高い会社が多い状況は、未経験から入る方にとって追い風になります。
収入面でも、免許を取得すれば運転できる車両が増え、給料の水準が上がっていきます。資格が収入に直結するわかりやすさは、この職種ならではの魅力です。
未経験からの転職ステップ
未経験からトラックドライバーになるまでの道すじは、次のようにまとめられます。
- 手持ちの免許で運転できる車両サイズを確認する
- 免許取得支援のある会社を選んで応募する
- 軽や2tクラスで実務経験を積む
- 会社の支援を使って中型・大型免許を取得する
- より条件のよい配送や車両へ移っていく
大切なのは、最初から完璧な条件を求めすぎないことです。まずは運転と荷役の基本を身につけ、そのうえで次の一歩を考えれば十分です。免許取得支援のある会社を選ぶかどうかで、その後のキャリアの広がりは大きく変わります。
子育てとの両立
トラックドライバーは、勤務時間が明確に区切られやすい職種です。担当するルートを走り終えれば、その日の仕事は終わります。持ち帰りの業務がなく、勤務後の時間を家族のために使えます。
近年は短時間勤務や地場配送にかぎった求人も増えてきました。地場配送とは、その日のうちに営業所へ戻る近距離の配送のことです。泊まりがけの運行がないため、毎日決まった時間に帰宅できます。
子どもの急な発熱などに対応するには、代替のきく体制がある会社を選ぶことが欠かせません。面接のときに、急な休みへの対応方法をチェックしておいてください。制度として整備されている会社を選べば、子育てと両立しながら長く働けます。
冷凍車の仕事に関するよくある質問
さいごに、冷凍車の仕事について寄せられることの多い質問へまとめて回答します。応募前の疑問を解消するために役立ててください。
冷凍車の仕事は未経験でもできますか?
未経験からでも始められます。冷凍車専用の資格は存在せず、必要なのは車両サイズに応じた運転免許だけだからです。温度管理の手順は決まっており、数週間の同乗研修で身につけられる内容になっています。普通免許があれば、軽冷凍車から始めるという選択肢がすぐに取れます。未経験歓迎とうたう求人では、研修期間や同乗期間の長さをチェックしておくと安心です。
冷凍車の庫内は何度くらいですか?
運ぶ商品によって変わります。冷凍食品を運ぶ場合はマイナス18度以下、アイスクリームであればマイナス25度以下に設定することもあります。チルドの荷物なら0度から5度前後、青果や菓子を運ぶ中温であれば10度から20度前後です。ドライバーが庫内で作業する時間は荷降ろしの数分間に限られ、一日じゅう低温にさらされるわけではありません。
配送中にエンジンを切ることはできますか?
冷凍機の駆動方式によって変わります。サブエンジン式であれば、トラックのエンジンを止めても冷凍機だけを動かしつづけられます。直結式の場合はエンジンを切ると冷凍機も止まるため、待機中もアイドリングが欠かせません。休憩や待機の多い配送では、サブエンジン式の車両を使う職場のほうが快適に働けます。営業所で待機するあいだは、外部電源につなぐスタンバイ機能を使う会社もあります。
手積み手降ろしのない冷凍車の仕事はありますか?
数多く存在します。パレット納品を中心とした物流センター間の輸送や、カゴ台車を使うスーパーへの配送であれば、荷物を持ちあげる作業はほとんど出てきません。求人票で「パワーゲート付き」「カゴ台車」「パレット納品」といった記載を探してください。記載がないときは、面接で1日の手運びの個数を具体的に確認することをおすすめします。
女性の冷凍車ドライバーはどれくらいいますか?
トラックドライバー全体に占める女性の割合は、まだ数パーセント程度にとどまるとされています。ただし人手不足を背景に、女性の採用に力を入れる会社は年々増えています。女性用の更衣室やトイレを整備したり、サイズの合う作業着を用意したりする職場も広がってきました。女性ドライバーがすでに在籍しているかどうかを面接で聞けば、その会社の受け入れ体制を見きわめられます。
まとめ
冷凍車の仕事について、内容から求人の選び方までを解説してきました。要点を振りかえります。
- 冷凍車ドライバーは、温度を保ったまま荷物をとどける仕事で、予冷と扉の開閉管理が基本になる
- 軽・2t・4t・大型でひつような免許も働き方も変わり、未経験は軽や2tから始めるのが現実的
- 庫内はマイナス18度前後だが、ドライバーが入るのは荷降ろしの数分間にかぎられる
- エンジンを切れるかは駆動方式しだいで、サブエンジン式なら停車中も冷凍機を動かせる
- 「きつい」の最大の原因は手積み手降ろしであり、荷役設備のある職場を選べば避けられる
- 滑らない安全靴と着脱しやすい防寒着をそろえるだけで、寒さの負担は大きく減る
- 給料は車両サイズと勤務時間帯で決まり、基本給と固定残業代の内訳確認が欠かせない
- 業務委託は経費が自己負担になるため、売上ではなく手残りで判断する
- 求人は「パワーゲート付き」「カゴ台車」「パレット納品」の記載を目印に選ぶ
- 荷役設備のそろった職場であれば、女性でも未経験でも無理なく続けられる
冷凍車の仕事は、求人の選び方さえ間違えなければ、体力に自信がない方でも長く続けられる仕事です。温度管理という専門性が身につくため、経験を重ねるほど評価されやすくなります。
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